Build a Canoe

アースデイびわこ 進水式 進水式
2007年4月下旬

4月22日は地球のことを考える日アースデイ。新旭水鳥観察センターにて「アースデイびわこ」が開催され、それに合わせてカヌーの進水式をする事になった。
当日、イベントにいらしてくれた方々に見守られながらカヌーを琵琶湖に浮かべる事ができた。その後、子供達、大人達も一緒にいろいろなカヌーで琵琶湖で遊んだ。(ちょっと寒かったが。)
設計図を描くところから始まって約5ヶ月、俣野さん、佳子をはじめホントに沢山の方々に支えられながら
カヌーを作り続ける事ができた。本当に本当に皆さんに感謝している、グラシアス、サンキュウ、メルシィ、ダンケ、オブリガード、ありがとう。

シートを付ける、ニスを塗る。 ニスを塗り、シートを付ける
2007年4月下旬

ニスというものは何度も何度も塗れば塗るほどピカピカ感が出るようだ。カヌーを使い始めた後も1年に1回ニスを塗ると綺麗さを保つ事ができる。しかし、ただ塗れば良いのではなく、ニスの上にニスを塗る場合は、1度サンディングしてから塗ると乗りが良いので毎度毎度サンディング、ニス、サンディング、ニスの繰り返しだ。製品として出す前に、最低3度は塗らなければいけないかなぁと感じた。この日、ちょうど長野からガタさんトシコさんが遊びに来てくれていたので手伝ってもらいとても助かった。
そして、前回作ってニスが乾いてきた頃のシートを取り付けると、ついにカヌーの形が完成。細かいところは残っているが一応形になった。次は、まだ完全に完成していないけれど、日程的に進水式!

これがみんなが座るシート。 シートを作る
2007年4月中旬

これが最後のパーツ作り(本当はもっと早く作っておいたら楽だったのだが・・・)。カヌーに乗ったときに座るところ、シートだ。シートはサクラの木を使うことにした。ガンネルに使ったチェリーの木とは微妙に違う。日本語と英語が違うだけではなくやっぱり特性もちょっと違うみたい。そりゃ育ったところが違うんだから当たり前だけれど。
シートのつなぎ目の部分はルーターを使ってオスメスを作って(on MouseDownで写真)はめ込む。そのとき少しだけできる隙間にエポキシ系の接着剤を流し込み一晩固定したらすごく丈夫なシートの枠が完成。100kg位の人でも座って大丈夫・・・・・・だと思う。
次に座る部分に竹で編んだシートを張る。あらかじめルーターで彫っておいた溝に、濡らした状態ではめ込み上から籐で押さえ込む。少し緩(ゆる)んだ状態で固定されても、それが乾いたらパンパンに張られ、仕上げにニスを塗ったら綺麗なシートのできあがりだ。

すごいタイミングで現れてくれたユウキちゃん。 色を塗る
2007年4月中旬

なぜ世の中、こう上手くいくのだろうか?僕も俣野さんも塗装ちゃんとできるか心配だなぁ・・・・って思っていたら千葉から友達のユウキちゃんが遊びに来てくれた。彼の本業はなんと塗装屋さん。という訳でユウキちゃんの指導の元、塗装作業にかかった。
「しゃぶい」「こみがいい」「まぶねた」などなど塗装業界用語の連発。なんだかそれだけで安心してしまうのはなぜだろうか?スプレーを近づけたり離したりするだけでも仕上がりが全然違ったりと、塗装の技術は奥が深い。少し厚くなりすぎて塗料が垂れてきちゃった時なんかの対処法もばっちり、さすがユウキちゃん。僕達だけだったら慌てているのかなぁなんて俣野さんと2人で話してたり。
という訳で、塗装はかなり綺麗に仕上がり、やっとみんなの心の中に赤いカヌーを具体的に浮かべる事ができるようになった。さあ、あと少しで完成だ!

アウトウェルを取り付ける アウトウェルをつける
2007年4月中旬

フィラーを塗り終わり完全に乾いたら、ダクロンの端を綺麗に切り取る(on MouseOverで写真)。次はアウトウェルをつける作業だ。アウトウェルとは先に取り付けたインウェルの外側につける、カヌーの縁の部分だ。インウェルと同じように、スカーフで2本の木を繋ぐ。そしてL字に溝を彫り、ぴったりとはまるように。
銅のビスを使い1箇所づつ丁寧に取り付けていく(on Mouse Downで写真)。このビス、アメリカでは伝統的になぜかマイナスを使う。プラスでも良いのに・・・と思うのだけれど聞くところによると、マイナスの方が溝には行った塗料などをかき出すのに適しているなどなどの意見があるようだ。
カヌーのカーブに合わせて、しならせながら取り付けたら先端を綺麗にかっこよく。さて、次はいよいよ塗装だ。

フィラー、塗って磨いて塗って磨いて フィラーを塗る
2007年4月中旬

ぴんと張ったダクロンの上から塗っているグレーの液体は、耐久性、防水性を高めるためフィラーとよばれているもの。多少の伸び縮みにも耐えられる素材だ。商品名は「Cekofill」。これを「チェコフィル」と読むのか「セコフィル」と読むのか本当は分らないのだが、なんとなく2人とも「チェコフィル」と呼んでいる。
一度塗っては、ペーペーかけてデコボコした所をなくす。それの繰り返しで3回刷毛で、プラス3回スプレーで塗っただろうか・・・・・。
カヌーをつくる過程では繰り返し作業がとても多い。同じパーツを40本作ったり、何度もサンディングしたり、2000本以上釘を打ったり・・・・その同じ作業を繰り返している間に何を考えるかが、カヌーを作る上で大きなポイントになってくるような気がするが、僕はその答えをまだ出せていない。

アイロンでダクロンを張っていく。 ダクロンを張る
2007年4月中旬

僕達が作っているカヌーはウッド&キャンバスカヌー(Wood & Canvas Canoe)という工法を基にしている。その名の通り木とキャンバスで作るカヌーだ。
従来の工法であればここでキャンバス(帆布)を張るのだが、訳あって今回は航空機の羽根を作るときに使う素材、ダクロンという化学繊維の布を使うことにした(訳は後で説明)。この曲線のカヌーに、シワひとつ無いようにダクロンを張っていく作業だ。
まずはヒートテープ(熱で溶ける両面テープのようなもの)をカヌーの際全てにあらかじめ貼る。(on MouseDownで写真)そして1枚でカヌーを包み込めるダクロンをかぶせ、引っ張りながらヒートテープの上にアイロンを当ててあげると一瞬溶けてすぐに固まる。そう、ダクロンが引っ張られたまま固定されるのだ。両側から2人で引っ張りながら定着、引っ張りながら定着の繰り返し。すると(on MouseOverで写真)のように張れる。
が、写真で見ても分るように縦シワができてしまう。ところがこのダクロン、熱を加えると縮むという特性をもっているのだ。シワのある部分のすぐ横にアイロンを当ててあげると、あたった部分が縮んでシワが引っ張られて綺麗に無くなってくれるのだ。かなり大きなシワもアイロンで綺麗に取れてしまう。これはやっていて気持ちの良い作業、みんなにも経験してもらいたいほどだ。そんな具合にアイロンでカヌー全体にピンとダクロンを張る事ができた。もちろん俣野さんも僕も生まれて初めての作業だったが。
ところでなぜ、キャンバスではなくダクロンを使ったのかというと、この後の作業で耐久、防水効果のあるフィラーと呼ばれる、塗料の下地剤を塗るのだが、従来のキャンバス工法だとそのフィラーに鉛(なまり)の混ざったものを使うのが一般的になっているのだ。皆さんご存知だろうが鉛は人体に毒であり、しかも作業工程の中に鉛をサンディングして大量に吸い込む危険がある作業が待ち構えている。そんな危険をおかしてまでカヌー作りたくないもんね、という俣野さんと僕の意見から、俣野さんがインターネット見まくって探しまくってくれた工法がこのダクロンと、次に使う鉛の入っていない「チェコフィル」というフィラー剤の組み合わせという訳だ。
カヌー大好きだけど自分と友だちの方が好きなので・・・・

ニス塗り、フェアリング フェアリング、サンディング、ニス塗り
2007年4月上旬

形を滑らかに(フェアに)する事をフェアリング、紙やすり(サンドペーパー)をかけることをサンディングという。プランキングを張っただけだと、木と木の繋ぎ目などがボコッとしていてその形が表に現れてしまう。そこで、カヌーの外側を手で触っても滑らかに感じるようにサンディングなどしながらフェアリングする。
内側はニスを塗る前にできるだけツルツルに仕上げるようにやはりサンディング。という訳でとにかくサンディング大会だ。内側は溝が多いのでなかなか根気のいる作業だ。
そして、ニス。1回目のニスなので木に浸透するようにニス:テレピン油を2:1くらいで薄め刷毛(はけ)で塗っていく。ニスを塗ると、最終的な仕上がりの色が見えてくる、杉が赤く輝き始める。実はこのニス塗り作業は、完成まで3回以上繰り返さなければいけない。固まったニスの上にニスが乗りやすいようにまたサンディングしてからニス、サンディング、ニスの繰り返し。1年に1回ニスを塗っていったら、何年経ってもピカピカで味のあるカヌーを保ち続ける事ができるのである。次は
いよいよ布でカヌーを包む作業だ。

ハーフリブ、プランキング プランキング、ハーフリブ
2007年4月上旬

こまごまとした部品を取り付けていったあと、プランキングをガンネルのラインまで綺麗に張る。しかし型にはまっていない状態では後ろにスチールバンドが無いので釘を打てない。さてどうするか?(on MouseDownで写真)舟をつくる用にこんな商品が売っている、バッキングアイアンという物。後ろにこの重たい鉄の塊を当てて釘を打てば、型にはまっていたのと同じ状態で釘をかしめられる。本当はこのバッキングアイアンを使って舟をつくるのが基本であって、スチールバンドを型に回すのは、カヌーを量産するために誰かが考えた、楽するための技である。これで一応カヌー全体が木で覆われたことになる。
次は、補強のためにハーフリブという部品を取り付ける。その名の通り半分のリブである。(on MouseOverで写真)カヌーの底面を強化するようにやはりバッキングアイアンを使って釘で止めていく。写真で見ても分るように、ハーフリブを付けることによって、カヌーにもう1つの曲線が誕生する。これは木の長さを調節して出した線のように思われるが、実は木を曲げて自然なラインを最初に出した後、それに合わせて長さを切っているのである。全ての曲線が無理なく自然なカーブを描いているカヌーを作れれば、それは自然の中に溶け込める、水のようなカヌーになるのでは・・・と僕は思う。

デッキ、スウォート、カントリブ デッキ、スウォート、カントリブを付ける
2007年3月下旬

おおぉ、カヌーだ。型から外すとやっぱりカヌーだった。型から外して初めて「実は一生懸命作っていたのは便器でした」とかだったら笑えない。とにかく間違って他のものを作ってなくて良かった。
カヌーが左右に開かないように木を渡して固定し、デッキ(両先端の三角形の部分)を取り付ける。(on MouseDownで写真)今回はデッキにケヤキを使ったので木目がちょっと和を感じさせる。次に型の上では付ける事ができなかった端っこのリブ(カントリブという)を付ける。カントリブはリブのように左右が繋がっていないのでダミーのようにも思われるが、プランキングを滑らかにするためにかなり重要なリブである。(ちょっと難しいかな)そして、カヌー自体がゆがんだりしないようにスウォートという補強材を取り付ける。このスウォートにもケヤキを使った。
俣野さんは言う、日本人ほど木目にこ?だわる人種はいないのではないかと。何が良いということは無い。木目が何かに見えてしまった瞬間、その木目に心を掴まれてしまうのだ。雲の形や煙の瞬間に似ている。

プランキング プランキング#1
2007年3月中旬

ついにこの作業、プランキングだ。8個前の「鉄板を張る」の写真をクリックし続けると図があるので見てもらいたい。我ながら分りやすい図だと思う。カヌータックと呼ばれる真鍮の釘をプランキングからリブに向って打つと釘の先端が鉄板に当たって2枚の板がかしめられるっていう作戦だ。
このプランキングを隙間なく張っていくとほとんどカヌーの形は決まる。先端の大きくひねったりする所は熱湯をかけて柔らかくしたり(on MouseOverで写真)、スチームアイロンを当てたり(on MouseDownで写真)して頑張って曲げる。
勢いに乗って一気に全て張ってしまいたいところだが、最後まで張ってしまうと型から外れなくなってしまうので途中まででやめておく。カラオケボックスを作ったのにカラオケマシンが大きすぎてドアを通らなくて困っている荒井忠を思い出す。先のことを考えながら作業を進めていくことが大事だ。

フェアリング、製材 フェアリング、プランキング製材
2007年3月上旬

リブ曲げ付けの後は、リブに対して垂直に交わるように薄い木の板を貼っていく作業、この事をプランキング?という。
そのプランキング作業に入る前にやらなければいけない事、それがフェアリングという作業だ。リブとプランキングの間に隙間ができないようにヤスリを使って重なる面を滑らかに(フェアーに)する事をフェアリングと呼ぶ。この先何度かやらなければいけない作業の1つだ。
それとプランキング材の製作。これがかなり薄い、こんな薄い板でカヌー作って大丈夫なの?と思うくらい薄い。これはバンドソウの刃を太いものに替えてバッサバサ切っていく。(on MouseOverで写真)その後自動プレーナー(かんな)にかけて厚みを揃えて終了。後はできるだけ乾燥しないところに置いて保管、これが大事。薄いと驚くほど早く乾燥してしまい曲げたりひねったりした時に割れやすくなってしまうから、水分を含んだある程度水々しいうちに形を作ってしまうのがポイントだ。年を取ってジジィやババァになると融通が利かなくなる。

スチームベンドでリブを曲げ付ける リブを固定する
2007年2月下旬

いよいよ型に沿ってリブを曲げ付ける作業だ。実にカヌーを作っているっぽい作業。基本的にはステムを曲げるときと同じくスチームボックスにリブを入れ約30分(リブは杉で薄いということもあり大体このくらい)。ヤケドしないように取り出して型のスチールバンドの上に沿わせるようにゆっくりと力を加えていくとグニャ〜っと面白いように曲がる。曲げたところを先に取り付けておいたインウェルに釘で固定、全部で43本この作業の繰り返しだ。やはり初めての作業という事もあり数本は失敗もしたが、その分のリブを作りなおして翌日にはカバーできた。
大きなカーブはそれほど難しくはないのだが、端の方はかなりきついカーブを曲げなければいけなくなる。そこで俣野さんが考え出した内側にちょっとした切込みを入れる技。すると局部的に曲がりやすくなり、なんとか写真(on MouseDownで写真)のように。
木を曲げるときは、自然と木に念を込めている感じがする。柔軟体操をしているときに体の伸びている部分に意識を集中させているときのよう。そうそう、いいよいいよ、そのまま、ゆっくりだからだいじょうぶだよ、とか木に話しかけて、なんだかエロカメラマンみたいだ。

インウェルを固定する インウェルを固定する
2007年2月下旬

内側のガンネルであるインウェル(3つ前に書いたチェリーで作ったやつの事)をモールドに固定する。この後の作業でリブを曲げつけたときに、このインウェルに釘でリブを固定するためだ。
このインウェルも曲線に固定する。硬い木だから上手く曲がるか心配だったが、熱湯で気持ち柔らかくしてからクニャッと曲げたところをササッと固定。固定固定固定していったら沢山あると思っていたクランプ(固定するための道具)の数が足りなくなるほど。
そしてステムのリブが当たる部分をリブの断面図にあわせて削ったり(on MouseOverで写真)、リブを放り込む大き目のスチームボックスを準備したりと、ちょっとした見せ場であるリブの曲げ付け作業に取り掛かる準備ができた。
1 つ前で「知恵の集大成」と書いたが、「木工曲線美の集大成」と言ったほうが「んん〜なるほど」って腕を組みながら首を縦に振っているおじさんが多そうだ。

リブを作る。 リブを作る
2007年2月中旬

リブとは直訳する?と肋骨(ろっこつ)の事。文字通りカヌーの肋骨にあたる部分のパーツの事を言う。モールドに鉄板を巻き付けたあの感じ、肋骨みたいでしょ。今度はその1本1本の鉄板の上に1本1本木を曲げ付けていくのだけれど、その曲げ付ける木、リブを1本1本作っていく。
このリブ、全て曲げて使うため、節や割れが少しでもあるとそこから割れたり裂けたりしてしまうので木を選ぶのも気を使う。カヌーのかたちに曲げつけたときに内側にくる面は、カヌーに乗ったときに一番上にきて人間に直接当たる面なので、ルーターという機械を使って角をキレイに丸く落としておく。そして全て同じ太さだとできあがった時にバランスが悪いため両端を細くする。などなど1つのパーツにもいろいろな知恵が詰まっている。船とは知恵の集大成かもなぁって思う事が本当によくある。

スチームベンドでステムを作る ステムを作る
2007年2月上旬

カヌーの両先端のグイーンとしたカーブの部分の事をステムという。次はこのステムという部分を作る作業だ。2枚目の写真にあるように、ステムは1本の木を曲げて作る。もし1枚の板からこの曲がった形を切り出したら木目が通らないため強度的に弱くなってしまう。だから、どうしても木目も一緒に曲がっていないといけない、となるとやはり曲げるしかないのだ。薄くテープのような木を接着剤で重ね合わせてステムを作る方法もあるのだがイベント性が低く僕達っぽくないので、やはり1本物で勝負だ。

使う材はオーク、とっても硬い丈夫な木だ。棒の状態ではビクともしないこのオークをスチームベンドという技法で曲げる。その名のとおりスチーム(蒸気)を使ってベンドする(曲げる)技だ。まずは材料の1inch(約2,5cm)角のオークを俣野さん手製のスチームボックス(on MouseDownで写真)に入れて1時間半、コーヒーを飲みながら時を待つ。時間になったら取り出してまず鉄のベルトに固定、次にそれをステムと同じカーブラインの型(正確に言うと「戻り」を計算した少しだけきついカーブの型)の端にクランプで固定、そしてゆっくりと曲げていく(写真)。曲げてはクランプで固定、もうちょっと曲げてはクランプで固定といった感じで固定しまくる。約1時間もするとほとんど冷めてクランプを外しても木は曲がったまま、あら不思議。完全に冷ますまで1日以上モールド本体に仮固定(on MouseOverで写真)する。ステムは2つ必要だからこの作業×2回、なんだか今日も仕事をしたって気分だ。

インウェルをスカーフ(つなげる)。(クリックし続けると詳しい説明が。分かるかな・・・) ガンネルを作る
2007年2月上旬

いよいよ、カヌー本体の制作に取り掛かる。今まで作ってきた型は、もちろん綺麗な方が良いがちょっと汚れたりしても関係無かった。しかし、これからの作業は商品そのものを作っていくので、今まで以上に気を使わなければならない。精神統一、精神集中、気を入れて作業にかかる。
まず最初の作業はガンネルという部分を作る事から始まる。 ガンネルとは下でも説明したができあがったカヌーに座ったときに両側にある縁(ふち)の部分だ。(on MouseDown 写真をクリックし続けると説明が見られる。)ガンネルは正確に言うとインウェルとアウトウェルに分けられ、そのうち今回まず作らなければいけないのはインウェルのほうだ。インウェルは長い棒、材は硬いチェリーの木を使う事に決めた。カヌーの形に添わせて曲げるため、節などが無い木を使わなければいけない(曲げたときに節の部分で折れてしまうため)。しかしカヌーの全長は約5m、そんな節の無い木のを手に入れていたらとっても高価なカヌーになってしまうので、2本の棒をつなげるスカーフという技術を使う。2枚目の写真(on MouseOver)にあるように、斜めにカットした材同士を接着剤(エポキシ系)でくっ付けてクランプ(締めつける道具)で締めて一晩置いておく。すると5m以上の長い1本ができあがる。その後少し角度をつけて最初の部品、インウェルの完成だ。

モールド完成! モールド完成!
2007年1月下旬

鉄板を張った後、ちょこまか作業をいくつか。モールドのステムが入る部分を削ったり、ガンネル(カヌーに乗ったときの両縁の部分)を付ける下地を付けたり
、鉄板に沿わせて木を曲げて張っていくときに木が浮かばないように上から押さえる部品を作ったりなどなど・・・・。細かい作業だけれども全て重要な作業。
それら全てが終わったら、ついに、ついに、モールド(カヌーの型)が完成!できあがったモールド、そのままどこかに展示してても良いのでは・・・と俣野さんと2人で話したり。100年使えるかは100年後になってみないとわからないけれど、使い続けられそうな予感たっぷりのモールドを作る事ができた。おめでとう、ありがとう。
しかし、当たり前だけどこれは型であって、カヌー本体の部品は何一つできていないので、今この瞬間がゼロだ。で、明日は1かな。

鉄板を張る。(クリックし続けると詳しい説明が。分かるかな・・・)鉄板を張る。
2007年1月下旬

次は、ピカピカの型に鉄板(かっこよく言うと「スチールベルト」)を張る作業だ。なぜ鉄の板なんかを張るのかを簡単にいうと、鉄板の上にカヌー本体となる薄い木を2枚重ね上から釘を打つと、鉄板に釘の先が当たってつぶれて、2枚の木がくっつくといった具合だ。(写真をクリックし続けると説明画像があらわれる、かな?)
鉄板の両端を折り曲げて引っ掛けて釘で止める。折り曲げるときに、幅の広いクリップペンチで掴んで金槌で叩いて折り曲げていくのだが、できるだけピッチリと張るためにはかなり正確に折り曲げないといけない。そのためには、どこをペンチで掴むかが重要になってくる。大げさのように聞こえるかもしれないが0,
1mmで歪みが決まる。これを43枚。何枚か張っていくうちにだんだん感じがつかめてくる。これは誰にも任せられないぞ、「世界カヌー型鉄板張り選手権」に出場したくなるほどだ。いろいろな世界にあるであろう、人から人に伝わるマニュアルに残せない技術っていうのを感じた。

ニス用の刷毛を初めて使った。安い刷毛とは比べ物にならない気持ちよさ。ツルツルをピカピカに
2007年1月中旬

カンナや、ペーパーヤスリを使って型ををツルツルに、もうささくれる事もなく、ちょっと抱きしめてみたり、ほっぺをすりすりしたり、まるで恋人。「カヌーと恋人」なんてタイトルで1冊なんてのも。
型というからにはこれを使って何艇も作ることができるわけだ。本を見ると1つの型を100年間くらい使っているところもあるようだ。それほどカヌーの形には今昔、普遍的な美しさを感じているのだろう人類は。というより、人間が感じる「美しさ」なんていうのは昔から変わりなく、そして誰から教えられた訳でもなく心の奥底にこびりついているようなものなのかもしれない。この話が進むと「カヌー深層心美」
というタイトルで1冊だ。
そうそう、「100年使える型を」という事で、次はツルツルの型にオイルを塗る作業。オイルを塗る事によって温度や湿度での変形や腐食を抑えるって作戦だ。油絵を嗜(たしな)んでいる方にはお馴染みのテレピン油とボイル油を1:1で混ぜたものを刷毛で塗る。すると一気に木の色が映えてこのままひっくり返して浮かべたくなるほど鮮やかになった。

気持ちの良い作業はみんなで。デコボコをツルツルに
2007年1月中旬

前回の角材を全て張り終えると、角材が組み合わさって出来たカヌーの形が完成。「おぉ、こんなカヌーに乗るんだな」
次は、角材と角材でデコボコしているので、いろいろな形のカンナでそれを全て滑らかにしていく作業だ。これがなんとも気持ちが良い。(もちろん刃が研いであるからだけど)シャー、シャーと、綺麗なカヌーの形を作っていくよりもカンナがけの気持ち良さが勝りつい削りすぎてしまいそうだ。
デコボコが見た目では分からなくなっても手で触ると、すごーく微妙な凹凸が不思議なくらい分かる。手の平の感触って本当にすごい。「世界微妙な凹凸識別選手権」に出場したくなる。

1本1本ひねりながら。もうちょっと形が見えてきた。
2007年1月初旬

全てのモールドを組み合わせたら、カヌーの全長が表れる。これが結構大きく、完成すると全長は約5m18cm位になる予定だ。これは、はからめの旅で使っているカヌーよりもひとまわり大きなものになる。
次は、モールドに細く引いた木(3/4インチ角)を張り合わせていく作業だ。1本1本ひねりながらモールドに固定していく。下穴を開けてビスで固定、この連続。俣野さんと2人で結構慎重に進めている事もあり、我ながら綺麗さを感じる事ができる。あまりにも綺麗なので「この型を浮かべたいね」とかいった会話も。

カヌーの形が見えてきた形が見えてきた。
2006年12月中旬

カヌーの断面である1枚1枚のモールドを決めた間隔で置いていくとようやくカヌーの形が見えてくる。これはなんだか嬉しい。先はまだまだ遠いのに、全部の嬉しさの半分くらい嬉しくなってしまった気分。
カヌーに乗ってウィルダネスを漕いでいく姿とは対照的に、細かくチョコチョコ作業をしたかいがあって、写真の通りセンターライン真っ直ぐ。「よし!」心の中でぎゅっとチョキに勝つが、パーに負けている自分が、「まだまだなんだから調子に乗るなよ」と耳元でささやく。
ステム(カヌーの横から見たとき、両端のグゥーンっていうカーブの部分)のモールドをくっ付けると、さらにカヌーっぽく。これら全てを直角を図りながら丁寧に土台にとめていく。

この切込みを入れるのが結構面倒な作業。モールドをつなぐ
2006年12月初旬

できあがったモールドを綺麗に並べるとようやくカヌーの形が見えてくる。そうするために、まずモールドにT字の切込みを入れ、そしてT字の土台を作ってはめ込む。その他、モールド上部にズレを無くすための切り込み。そしてカヌーのガンネル部分(カヌーの淵)の切り込みなどを入れる。このモールドに切込みを入れるって一言で言うしかないから一言で言ったけど結構面倒な作業だ。バンドソウのアーム(前回の写真の一番右にある黒い鉄の塊の部分)が邪魔なため、バンドソウだったらすぐ終わるのに・・・・って思いながら他の道具を使う作業がなんか悔しい。
など、かなり時間をかけながら作り上げたパーツ、後は小学生でもできる立体パズルじゃん、と思いきやなかなかそうはいかない。すごく微妙なズレが、組んだときに大きなズレとなって表れる
。時間はある、ヤスリで1mm以下の調整。コーヒーを飲みながら1枚1枚T字の土台にはめ込んでいく。

バンドソウで切り抜いたモールド2006年11月下旬
カヌーを作るための型を作るための型 (モールド)

カヌーの断面図の型の事をモールドと呼ぶ。今度はこのモールドを作る作業だ。モールドはしっかりしていないといけないのと、ゆがんではいけないという事から21mmのコンパネを使う事にした。前回で型の形は描けたので後はそいつを切り抜くだけ。
最初は大雑把に丸ノコで、次にバンドソウ(糸ノコの強力なやつっていうイメージ)で、もうちょっとぎりぎりまで切り抜く。最後は、カンナで納得がいくまで綺麗なラインに削る。この「納得がいくまで」っていうのがとっても大切。綺麗か綺麗じゃないかって事よりも納得がいくかいかないかが問題だ。そうすれば、より、その人に近いカヌーができあがるのではないだろうか。綺麗なカヌーは山ほどあるので、僕達っぽいカヌーを目指して今日も納得いくまで・・・・。

カヌーを作るための型を作るための型を作るための型2006年11月中旬
カヌーを作るための型を作るための型を作るための型

ロフティングではカヌーの断面図の形が描き出せる。カヌーを作る上で、その断面図の形の型が必要になってくる。次はその断面図の型を作る作業だ。ここでいう断面図というのは、カヌーを輪切りにした状態の断面図のこと。
今回のタイトルはコピペしすぎたのではないかと疑われるタイトルだが間違いではない、本当に「カヌーを作るための型を作るための型を作るための型」を作るところから始めるのだ。カヌーは正面から見ると(真横から見ても)左右対称の乗り物なので、正確に左右対称のものを作るには半分作ってそれをひっくり返してコピーすれば絶対に左右対称という事になる。というわけで、写真のような左右対象の線を描くための半分の型をロフティング図面から薄いコンパネに書き起こし切り抜けば、「型を作るための型を作るための型」ができあがり。
そしてできあがった「型を作るための型を作るための型」を使い 、「型を作るための型(モールド)」を作る。すでに記したように初めにそれを鉛筆でなぞり裏っかえしてまたなぞる。するとモールドの
線を書くことができるというわけだ。

ロフティング2006年11月初旬
ロフティング

いよいよカヌー作りが始まる。といってもいきなり木を切ったり、トントンカンカンやるわけではない。まず設計図を描かなくちゃいけない。アメリカでは原寸の設計図のことをロフティングという。和船を造る船大工は設計図を残さない。それは工法、技法が盗まれないためとも言われている。一方、ボートビルダー(ここではアメリカの船大工のことをこう呼ぶ事にする。)は設計図を実寸で描くところからはじめる。ロフティングとは、昔、今でもかもしれないが、2階の床(Loft)に図面を書いていた事に由来する。
ロフティングの面白いところは、数字でカーブを描くのではないというところだ。(もちろん基になる数字はあるが。)バテン(木の棒)
をしならせて自然なラインを決めていく。自然な(フェアな)ラインか、不自然な(アンフェアな)ラインか、頼るのは人間の感覚。気持ちが良いか悪いかただそれだけなので、線を決めやすいと言えば決めやすいが、逆に気持ちに左右されるのでカヌーを作るときは、落ち着いた心と豊かな心、そして遊び心が必要というわけだ。
ロフティングの描き方について説明すると、はからめの他のページの更新ができなくなってしまうので、ロフティングでは正確なカヌーの形を決める事ができるということを記して筆をおくことにする。

想像していたカヌーが現実に!2006年10月下旬
ウッド&キャンバスカヌー

ウッド&キャンバスカヌー。これが僕達がこれから作ろうとしているカヌーだ。その名の通り、木とキャンバス(絵を描いたりするあれ)で作るカヌー。
制作場所は、奥琵琶湖ウドゥンボートセンター、いつもお世話になっている水鳥観察センターにの半地下にある工房だ。制作人間は僕鈴木匠と、船の知識どころか世の中の知識が許容量を超えてあふれ出している俣野こうじさん。
今回僕達は、カヌーが沢山作られているアメリカ北部の資料などをもとに製作をすすめる事にした。さて、どんなカヌーになるのか、時間はある、妥協なし、頭の中で川だろうと空だろうといつでもどこにでも行けたあのカヌーが今現実となる。
このページではカヌー制作の様子をゆっくりと更新。カヌーもゆっくりと仕上げていくので、皆さんもゆっくりとした気分でゆっくりと読んでくれたら嬉しい限りだ。