ふきのとう

555 2015年3月29日(日)

先日「お礼に」とイノシシ肉をいただきました。前回もいただき、そのときは内心困ったなぁと思うも、いのちある食べ物を処分するのも忍びなく、調理をしていただきました。今回は気分がすぐれず、お隣さんには内緒で放射能測定に出させていただきました。ウェブサイトをチェックすると福島県内でのイノシシ肉には出荷規制がかかっておりました。以前もイノシシ肉を食べに誘われたのですが、わたしが断ると匠くんだけが行っていただいていました。今回もものをお貸ししたお礼にくださったのでお断りもしにくく、ご近所付き合いも考慮し「ありがとうございます。」と言って受け取りました。以前いただいたときは「え?イノシシですか?(食べて大丈夫なの?…)。」「(わたしの顔色を見て)子どもだから放射能ないんだっちゃ、大丈夫、大丈夫。」と言っていました。くれるんだから大丈夫なものなのかな、測定して安全性が確かめられたからそう言っているのかな?頭の中で考えが右往左往します。誰にも相談できず一日経過し、二日経過し、気がかりを払拭するには自分で確かめる以外にはなく、こっそりとクール宅急便で測定所に送りました。その結果555ベクレルが検出されました。
これから山菜の芽吹きが楽しみな季節です。ここでは楽しみとともに言葉にしにくい思いも共有する季節、震災以降毎年感じる春の愁いがやってきました。
日々起こることや訪れることにはメッセージが含まれていることもありますし、自らそう読み取ることもできます。どうもしなくてもいいし、どうにかしたかったら向き合っていくしかありません。いいとかわるいとかそういう類いのことではなく、自分がどう向き合っていくか、ただそれだけです。福島のことをいろいろ気遣ってくれたり逆に廃県にした方がいいという人もいます。ものごとはただそこにそれがあるというだけ、月日はそれに対して自分がどう向き合っていくかの積み重ねです。気が乗らなければ向き合わなくてもいいことですし、向き合う人はそうしたいからそうしているのです。今回、食すことを選ばなかったイノシシを通して、罪悪感というかなんとも言えない気持ちでいたのですが、今一度深く考えさせていただく機会をいただいたことに感謝しています。自分の中での葛藤に向き合えるありがたい機会が春の訪れとともにやってきた、そう受け止めています。(よ)


床張りスタート

外壁張り・2階床張り  2015年3月20〜21日

20日夜遅く、時々建築を手伝ってくれるヨッシーが東京からやってきた。夜はあまり遅くまで飲んだりしないで一緒に作業ができる明日、明後日に備える。
21日、朝はパンとコーヒー。焼きたてのパンはどうしても食べ過ぎてしまう。食べ過ぎてしまうのが分かっているので普段は食べ過ぎないために、あえて前日の夜に焼く事を考えるほどだ。しかし今回はヨッシーが来るという良いタイミングだったので食べ過ぎ焼きたてパンを楽しんだ。
本日は4面ある外壁のうち、残っている1面を張った。寒くて後回しになってしまった日の当たらない1面、やはり寒い作業となったが、なんとか暗くなる前に本日の目標までたどり着いた。
すでに張ってある日の当たる面の板は、乾燥が足りなかったせいかさっそく割れ始めている。残念な感じはあるけれど勉強勉強!
壁張りspace 22日は、2階の床張りスタート。人生の中で今までに何度か床張りをしてきたが、自分の家の床貼りは初めてだ。床に使う材は30mmのスギ材。床材は堅く高級感があるヒノキ材とどちらにしようか迷ったが、軟らかくてキズは付きやすいが暖かいスギ材にした。家を作る前は、今のテントよりは少しくらい隙間があっても暖かいだろうから・・・と思っていたけれど実際に色々な作業を始めると隙間があると気になり、妥協ができなくなる。その隙間があるところを、できるだけ隙間なく仕上げようとするバランスがちょうど良く、自分なりの家ができるんだろうなと思った。
2階床は22日中には張り終えることはできなかった。作業の流れが掴めたところで本日の作業終了。これからやる事を考えると結構先は長いなぁ・・・と。けれど、「少し手を動かせば少し進む。」その言葉をいつも口ずさみながら一歩一歩前に進む、ただただ進む。  (匠)


外壁が少しずつ

外壁と天使  2015年3月13日(金)

タイベックという透湿防水シートを張ってドウブチを打ち付け、外壁用の板を貼っていきます。外壁用の杉板はプレーナーで厚みと表面を整え、ナチュラル系のステインを塗って拭きとったものを乾かしてから使います。細かい所の加工が必要で作業はすんなりとはいかないのですが、少しずつでも進めていこうと氷点下の中でも取りかかっています。今年は雪が多く、3月になっても凍てつく寒さが続き足がしもやけになりました。足湯をしたり腹巻きをしたり、防寒対策をしても効果なし。「これ以上寒かったら限界…。」「もう限界だからこれ以上の作業は無理。」を何度も繰り返し、それでも一日一枚貼れば進むからと作業継続中です。
天使を迎えるspace 友人から連絡があって、うちに天使がやって来てくれるそうです。5日間、5人の天使が滞在していかれるそうです。テント狭いけど大丈夫?などの質問は意味をなしませんでした。天使さんたちには寒さや狭さは問題なさそう、この場所を清めてそして願いを叶えてくださるそうです。よろしくお願いします。(よ)


3月11日

4年目  2015年3月11日(水)

震災から今日で4年の歳月が経ちました。記憶はまだ鮮明で、ラジオから流れてくる各地の声も痛々しく、2:46は福島はからめランドより黙祷を捧げました。あの日に遡って小名浜にある当時避難所となっていた中学校へ行ってみようかとも話しましたが、この地で静かに過ごそうということになりました。震災以降3月11日をここで過ごしたのは初めてかもしれません。思い出そうとすれば記憶はたくさん残っていますが、どれも整理するにはあまりにも辛い記憶です。考えてみれば思い出すのは震災から一週間以上経ってから石巻へボランティアへ向かったこと、そこで仲間たちと共同生活をしながら片付けや炊き出しなどをしたということなどなど、辛い現状よりも目の前にある今やるべきことに没頭した日々の記憶です。3月11日、足の下で割れた地面や眠れなかった夜のこと、翌日小名浜へ水を届けに行った時のこと、そして原発が爆発して味わった恐怖と避難の数日間、逃げ惑う人々との出会いと別れ。思い出さないように記憶の奥の方の箱にしまって鍵をかけています。「忘れないでほしい。」ラジオから何度この言葉を聞いたでしょうか。起きた事実は記録され、また人々に記憶され、残そうとする人たちの尽力によって後世に語り継がれることと思います。大事なことかもしれません、いや、きっと大事なことなのでしょう。でもわたしは忘れてしまいたい、何もなかったことにして今を生きたいと思う気持ちもあるのです。(よ)


バウさん

映画「ダムネーション」と那珂川 2015年3月3日(火)

「停まると腐る。」僕はこの世の中の流れのすべてをこの言葉で表せるんじゃないかなって思っている。水、人、エネルギー、お金、全て停まったり、溜まったりすると腐るのだ。あたりまえの事だから、だんだんみんな気付き始めていると思うのだけれど、そうじゃない人達もいるのがこの地球、いつの時代でも。
水の流れを停めるもの「ダム」。アメリカに作られた7万5千基のダムを、その歴史、ダムが河川に与える影響、そして撤去の方向にある現状を伝えるドキュメンタリー映画「ダムネーション」を鑑賞してきた。上映してくれたのは那須塩原にある山の道具屋さんLUNETTES(リュネッツ)先日、那須を探索していた時に出会ったお店だ。
映画は簡単に言うと、お金を作り出すためにダム建設を行った事によって、お金では買えない多くの物が失われた事実、そしてダムを撤去する事によってよみがえる自然のたくましさを描いた物となっている。もちろん、ダム推進派にとっては気持ち良くない映画の内容となっている。
上映後、主催者の1人「那珂川ウォーターネットワーク ツルカメ隊」の高野さんの話しを聞いた。話してくれたのは那珂川に影響を及ぼすという霞ヶ浦導水事業という公共事業についてだった。これは霞ヶ浦と那珂川を43kmのトンネルで繋げて水の行き来をさせるという計画。もちろんお互いの水にとって良くないのは目に見えている。実際に同じ事業で霞ヶ浦と利根川を繋ぎ1995年に試験的に通水したところ利根川河口のシジミが大量死しそれ以降通水は行われていない。そういった事実、結果が出ているにもかかわらず那珂川との通水を行おうとしている霞ヶ浦導水事業に那珂川流域8つ全ての漁業組合が事業差し止めの裁判を起し、その判決が今年2015年7月17日に出る。那珂川で漁をする漁師さん、そしてカヌーで川下りする僕たち、これから何かして変わる事は無いかもしれないけれど、それでもより良い世界を作るための1歩を踏み出さなければと思ってしまう。自分の心に嘘はつけないしね。
そんな思いを抱いている世界中全ての人に「楽しく一歩前に」と語りかけてくれる映画でもあったかな「ダムネーション」。そうそう今回お世話になった那須塩原のLUNETTESというお店、とても暖かい雰囲気のお店なのでアウトドア好きな方々、那須を訪れた際にはぜひオタチヨリ。近くにオシャレなカフェもあるよん。 (匠)


関連サイト 映画「ダムネーション」 ・ LUNETTES
4月<  >2月