つらら
寒波 
2023年1月28日(土)旧人日

十年に一度の寒波、といわれています。
旧暦一月七日、人日。
七草粥の野草も雪の下に埋まっています。

数十センチの銀世界は美しいものですが、山の生活も寒波の影響を受けています。
工房の水道管が破裂し、壁の中が水浸しに。
今すぐに壁を剥がす訳にもいかず、このまま凍結した状態で春を待つのみ、なんとも言葉がありません。一昨年の冬至には洗面所の水道管が破裂、昨年にはお風呂場のシャワーと温水器が壊れました。まさか工房の水道管が破裂するとは。地面からの立ち上がりの部分には凍結防止のための電熱線を巻いていますが、構造上どうしても巻ききれない部分があり、電気を通していたのにその一部分が破裂していまいました。

いつも考えるのは水のことです。
水の流れを止めるといろいろなことが起こります。
流し続けていれば凍ることも澱むこともありませんが、日々の生活においては使いたい時に使いたい量だけを使いたいという、水をコントロールして快適に暮らしたいという欲望が生まれます。

水道工事や電気による凍結防止など、エネルギーを使って労力も注いだとしても、すべてが完璧にコントロールできるわけではありません。例えば今回の寒波のように、大自然の力には敵いませんでした。
工房の水道は昨年もその前も破裂せずに使えていたのですが、急激な寒さで今回はそのリミットを超えてしまったようです。自然界は常に変化していますから、これまでと同じようにこれからも、ということにはなりません。想定外のことが起こることの方が自然です。
原子力発電所の事故や安全といわれている機械の扱いも、いつどんな想定外の出来事で制御不能になるかもしれないということを考えます。思いもかけないことは起こります。そうなったときにどうするかを考えて、作る前、使う前に選択していくこと、今だけよければいいやという考えは結局はそれ以上のリスクを払うことになります。この先も今までと同じ状態が続くとは限りませんから。

人の住んでいなかった森での暮らしは、常にトライアンドエラーを繰り返して学習します。
かつてすべての暮らしはその延長線上にありました。ある一定水準を満たしても、それ以上を求め続けるという世界がある限り自然との対峙は続きます。これ以上は、という限界点を意識できるかどうかが課題でもあります。
水を使えるという恩恵を受けつつも、いつでも使いたいように、と望むのであればそれなりの対価が必要です。自分で生み出せない外からのエネルギーを使うか、もっと工夫する能力を身につけるか。
地球は広くて宇宙も使えるという、もっともっと先へという意識から得られるものと失うものを考えなければなりません。

月の手帳の今週のページ下段に、「流れる水は腐らず」という言葉が書いてあります。
流れる水のことを身を持って知らされる週となりました。

晴れ屋さんにてお話会
こよみのお話会@晴れ屋 
2023年1月22日(日)旧正月

年が明けて最初の新月の日、今日は旧暦元旦、旧正月です。
神奈川県本厚木にある晴れ屋さんでこよみのお話会を開催しました。
4年ぶりの晴れ屋さんでのお話会は、定員を上回るご参加の方々でいっぱいでした。

晴れ屋さんは、オーガニックカフェを中心に、雑貨や食品、古着も並ぶエコロジカルなお店です。食事はヴィーガン、アレルギー対応もしてくれます。気功やマッサージ、ライブやイベントなども開催していて活動の範囲も広く、厚木方面での情報発信基地でもあります。今年で18年目だそうで、フェアトレード業界でも老舗、ガイアさんともつながりが深いお店です。
海外買い付けが主流だった古着の販売を、国内循環で行っているという点でもその意識の高さを感じます。何より店主の清々しさや周りの人たちへの思いやりがこのお店の魅力でもあります。まさに晴れ屋!という感じです。

第一部のお話のあとは晴れ屋さん特製のビーガンお弁当とお茶が振舞われました。持って帰ってもいいし、休憩時間にいただいてもいいというご配慮もお客様に喜ばれていました。カラッとあがった大豆ミートの唐揚げとお惣菜のお弁当は彩りも美しく、食を通して暮らしを考え農家を支えるお店の意識がこういうところでも感じられたのではないでしょうか。

リピーターの方も何名かいらしてくださいました。
「今回は、以前に聞いた話と違うところが響きました。」
「水の取水の仕方など、本に書いたり学校で教えたりはしないんですか?」
質問や感想、ご意見なども飛び交い、閉店時間いっぱいまでお話会の時間をいただきました。
新年最初のお話会、みなさまとこよみを通して交流させていただき感謝です。

月のカレンダー、手帳ともに、節分(2月3日)までご注文承っております。
店舗様に在庫がなくなってしまっているところもございますが、ご連絡いただけましたら在庫のある店舗様のご紹介もさせていただきます。手帳はご注文いただき次第製作させていただきます。

旧暦新年、よき始まりとなりました。
こよみを通してこの世界を感じ、生かし、生きて行っていただければと思います。
本年も月のリズムと友に、どうぞよろしくお月愛くださいますようお願い申し上げます。




関連サイト : 晴れ屋

はからめランドの薪
薪2 
2023年1月10日(火)

先日は薪についての話をしたのですが、今回はさらにその続き、労働とお金について薪の視点から考えられることを話してみたいと思います。
まず、ほとんどの方々は僕も含めて、働いて稼いだお金で、電気やガスなどの燃料を買い、その燃料で料理をしたり暖をとったりしています。体や頭を動かした働き(エネルギー)を一度お金というものに変換して、それをまた燃料(エネルギー)に変換し、その恩恵を受けているということになります。
薪の生活をしていると、働きと恩恵の間にある「お金に変換する」という部分を抜いて考えることができるようになります。働きは薪集めと薪割りなどの薪作り。そしてそれが直接僕たちの生活を豊かにする火や暖などのエネルギーそのものであり、それを直接受け取り恩恵を受けられるのです。薪を集めたり割ったりする作業は結構大変ですが、やったらやった分の暮らしができるとってもわかりやすい生活です。

はからめランドの薪

そして薪集めに関していえば、自分で山を持っているというケースは稀であり、ほとんどの場合は伐採した木や、処分する木の情報を頂き、足を運んで取りに行くことになります。(ちなみに薪を買うというのは僕の頭の中に無いのでそういった前提で話を進めます。)切り倒した木、欲しい人は欲しいし、いらない人はいらないのです。
いらない人もできれば全部きれいになくなってもらいたいので、「ここの木、全部持って行ってくれるならば持って行っていいよ〜」ということが多いです。切った木1本全部、薪にするには効率が悪い細い部分も全部持って行ってね、ということです。しかも枝の処理は結構大変だし、枝ももちろん燃えるのだけれど、同じ長さに切って積んでという作業を考えると、どのくらい細い枝まで薪にするかをいつも悩みます。細い枝は細い枝で料理やお風呂を沸かす時に良かったりするのであればあるで嬉しいのですが、薪として管理するまでに時間がかかるというのがネック。はからめランドの僕たちの薪棚を見ると細い枝もたくさん積んであるのでびっくりする人もいます。
薪につながる第一歩は、知り合いや、近所の方に、僕たちが薪を欲しがっているということを認識してもらうということが大事だと感じています。なので僕はいつでもマキ〜マキ〜と言いながら歩いているのです。(匠)


お風呂の焚き口
春の七草、満月、薪 
2023年1月7日(土)

もう今年が始まってから1週間も経ったのか・・・と思うのが、五節句のひとつ「人日(じんじつ)」です。一般的には春の七草を食す日となっています。しかし節句というのはもともと旧暦の風習であるので、現在私たちが使っているグレゴリオ暦で数字だけ追っている節句などは本来の季節からのズレが生じます。この寒い時期に「せりなずなすずなすずしろごぎょうはこべほとけのざ」が、自然と生えているかと考えれば、そりゃその通りだ、となるのではないでしょうか。
ちなみに、今年2023年の旧暦でいう人日は1月28日になります。

ここ数日は、来年の薪の準備に時間を使っています。以前、「薪は天然の高性能バッテリーだよ」と教えてくれた方がいました。車などで使っている鉛のバッテリーというのはエネルギーをゆっくり貯めて、そのエネルギーをゆっくり放出するという特徴があります。
考えてみてください、薪(木)が何年間かけてエネルギーを貯めてきたか。そしてそのエネルギーを短時間で手にすることができ、瞬時に放出することができる、こんなに優れたエネルギー蓄積装置はなかなかありません。
放出の仕方を、薪の大きさや、木の種類、また薪ストーブなどの囲いによってコントロールできるというのも魅力のひとつです。お湯を沸かしたり料理をするときは一気に火力が欲しいので、針葉樹、または広葉樹でも細く割った薪が適しています。そして薪ストーブなど暖をとるときに使う場合は、スタートの焚き付けには針葉樹も良いけれど、ゆっくりと長く燃えてくれる広葉樹のドンとした薪の方が適していたりなどなど。
使う状況、場所、時間などを感じ考えながら使うと、薪の持つ特性を最大限に引き出すことができます。そこには楽しさがあります。これを楽しいと思うのは、木との対話があるからではないでしょうか。人間以外の地球のものと会話できるということは楽しいのです。

はからめランドの薪

薪生活の特徴として、近年どうしても話に出てくるのは災害時についてでしょう。この場合の薪とはそのまま「火」と言い換えても良いでしょう。日々の生活の中で火が補えるもの、調理、暖房、お風呂、そして灯りです。言うまでもありませんが、これらを全て電気やガスに頼っているのが現代のほとんどの方々の生活様式なので、それらが止まってしまったら困るというわけです。
これらの不安に関しては、薪を使った生活ができれば何も困りません。しかも、もし困ったことが起こっても自力で復旧できるのです。薪ストーブなどは壊れても単純な構造のものであるので応急処置が可能であったり、焚き火を起こすことを考えたらどこでも料理を作れ暖をとることができます。薪は木というものが持つたくさんある特徴のうちの一つにすぎませんが、薪を操ることができると人生のある部分において、しっかりとした自信を持つことができるのです。
薪を割る生活、みなさんはどんなイメージをお持ちでしょうか?
僕はみなさんにアスファルトに覆われた土地で暮らすことより、土の上で地球と対話しながら生きることをお勧めします。

※2023年元旦より「デスマス」にしてみました。 (匠)


2023年元旦
あけましておめでとうございます。 
2023年1月1日(日)

あけましておめでとうございます。福島県塙町は、穏やかな気候の元旦を迎えました。
こんなに暖かく過ごしやすかったら外作業やりたくなっちゃうねと、2人ではからめランドを一回り散歩しながら、今年はここをこうしよう、あそこをああしようなど、イメージを語り合います。さっそく明日から体を動かして生活スペースをより良いものにしていこうと気分を盛り上げます。

新しいこよみが始まりました。今日から皆様のおうちでカレンダーが使われ始めるのかと思うと、こんな山の中にいても沢山の方々と繋がっているのだなという気持ちになります。手にしてくださった方々、どうぞ1年間お月愛よろしくお願いいたします。


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