椿
くるみの移植、たらの芽、コシアブラ。
 2022年4月30日(土)

晴れていますが、今日も寒い日です。
朝から薪ストーブに火を入れています。

畑で育っているくるみの苗木を山に移植しました。

くるみ

遠野に住んでいた友人晶美ちゃんからもらったくるみを畑に埋めたら発芽して育ち、大きくなること早3年。その間に晶美ちゃんが病気になり、入院中の晶美ちゃんに発芽したくるみの写真を送り元気づけたり励ましたりしていました。晶美ちゃんが亡くなりくるみは大きくなり続け、春が来てどんどん葉が開き始め、いよいよこの小さな畑から山へ移植することにしました。本当はもっと早く移植したかったのですが、移植先の伐採もろもろなかなか時間がかかり、日増しに成長していく姿を日々気にしながら移植できないままでいました。成長していく様子が気になり始めたらもうやるしかありません。

16本の苗木を山奥へ移植しました。
ご近所さんから聞いたのですが、今国有林となって杉が植えられているこの山奥は、かつて胡桃沢(くるみざわ)と呼ばれていて、くるみがたくさん生えていたのだそうです。今ではくるみの木はありませんが、はからめランドと国有林との境目にくるみを植えることによって、いつの日か再び胡桃沢が戻ってくるかもしれません。

たらの芽

ご近所さんが山に入って、たらの芽とコシアブラを収穫していました。
今年もこの季節がやってきました。
毎年調べる放射能測定、まずはたらの芽から、

いただいたたらの芽からは20ベクレルの放射性セシウムが検出されました。

国の基準値は100ベクレルですから、直売所や道の駅でも販売されています。ご近所さんも食しています。

わたしたちの敷地にもたくさんのたらの芽が生えています。同じエリアですが、収穫して測定器にかけてみました。
なぜかこちらは放射性物質不検出でした。採る場所によって異なるのか、木の樹齢によるものなのかは分かりませんが、検出されるものもあればされないものもあるということのようで、調べてみなければ分かりません。

コシアブラ

さて、はからめランドにもたくさん生えているコシアブラ、こちらも測定器にかけました。
274ベクレルの放射性セシウムが検出されました。

11年の年月が経ち、放射性物質について意識の薄れがあるので、ここでもう一度おさらいしてみましょう。

“放射性セシウムは、核実験や原発事故によって大気中に放出される、人間が作り出した放射性物質です。半減期は30.2年で、放射性物質のヨウ素131の半減期が約8日であるのと比べると長い間放射能の影響が残ります。”「一般社団法人日本土壌肥料学会」のWEBサイトより

放射能の影響の中でも、山菜などを食すことによる内部被ばくをするとどうなるのでしょう。

“放射線によってDNAや細胞が傷つけられ、白血球が減少したりがんの発生率が高くなるなど、人体へ悪影響を及ぼします。”「一般社団法人千葉市医師会」のWEBサイトより

“放射性セシウムは、カリウムと似た性質のため、体内に取り込まれやすいのですが、同時に排泄されやすい性質も持っています。
大人の場合、取り込まれた放射性セシウムの量が半分になるのに掛かる日数は約70〜100日だといわれています。子どもは代謝が早く、放射性セシウムを摂取したとしても、5〜10歳くらいの子どもでは30日ほどで半分になります。” 「環境省」のWEBサイトより

以上、「放射性セシウム」について調べるとこんな感じの情報が掲載されていました。

ウドの天ぷら

ウドの新芽の天ぷらです。
このあたりのウド、ワラビ、シドケ、ウルイ、フキ、ミツバ、ヨモギ、セリ、クレソン、タンポポ、アサツキ、ウワバミソウなど、地面から毎年新たに生えてくる山菜からはここ数年間、放射性物質は検出されていません。小さく生えてくるものと、木から芽吹くものとの違いなのかな、と思っています。

このような話は今では話題にすることすらはばかられるような雰囲気で、山菜の話はしますが誰も放射能の話はしません。 国の基準値は100ベクレルですので、基準値以下でしたら市場に出ます。もちろん「何ベクレル含まれています」とは表示されていません。
「何ベクレル以下だったら食べますか?」
こう質問されたら、みなさんはなんて答えるでしょう。

食卓

我が家は県外のゲストも多いので、山菜については放射能の話をします。測定して検出されたものは100ベクレル以下であっても料理には出しません。(どうしても、という場合を除きます。)

今や放射能より食品添加物や農薬、遺伝子組み換え、ゲノム編集など、気にし出したら何を食べればいいのかわからない世界になっていますが、これもすべて人間が作り出したものです。因果応報という形で自分たち(その子どもや孫やそのまた子孫へ)に返ってきています。
放射能の含まれていない山菜か、自家菜園で採れた野菜、信頼できる農家さんとのつながりを持つなどして食の安全を確保するか、排毒できる体を維持し続けるか。気にしない、というのもアリですね。病は気から、といいますから。

ハートのデッキ

デッキをベンディングしました。
スチームボックスに入れて蒸し上げる工法ではなく(こちらは先日実験しました。)、なんとアイロン温熱によるベンディングを初めて試みました。
意外や意外、このやり方でできました。
このハート形のデッキはインディアンガールのデザイナーであるラシュトンさんのオリジナルで、他には見られません。オリジナルに忠実に作るため、先日スチームボックスで蒸しあげたデッキを作り直しました 。

ハートに見えますか?
それともお尻に見えますか?
まるでロールシャッハテストのようですね。


キセキレイ
昭和の日、展示会。
 2022年4月29日(金)

4月29日は昭和時代「天皇誕生日」でした。昭和64年昭和天皇の崩御に伴い同年より「みどりの日」と名称変更、そして平成19年に「昭和の日」と名称変更され、現在は「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす日」としています。(はからめ月の手帳より)

GWがはじまりました。

今日は矢祭町で押田製材所の展示会が開催されています。

押田製材所展示会

小田原から地域おこし協力隊として矢祭町に来て現在ご自分のお店「あおちゃんち」を経営している青樹さんが、小田原の仲間を引き連れて出店していました。
「いつもはこっちのもの(矢祭町)を持ってあっち(小田原)へ行っているんだけど、今日は小田原のものをこっちへ紹介しますよ。」
あおちゃんの小田原の飲み友達が匠の同級生の同級生ということがありました。縁とは面白いものです。まずはあおちゃんおすすめ片浦レモンと湘南ゴールドのつかみどりに参加しました。

押田製材所展示会

白河から全国へと福島ロハス計画を実行しているハナリンさんも御出店。ハナリンオフィスで販売していた棚倉町の天然酵母パン「Get well soon」のパンを購入しました。お隣には先日お会いしたひるてぃ農園さんが山菜の販売と整体施術で御出店。福島民報の掲載誌を拝見させていただき、免疫力向上レシピとご活躍を伺いました。
木材だけでなく、地域のコミュニティづくりにも一躍担う押田製材所の展示会です。

押田製材所展示会

13:00からはセリが開催されます。
値がついていく段階で、つい参加してしまうのがセリの醍醐味というか、木を扱う者のサガなのでしょうか…。誰もが少しでも安く購入したいとは思うものの、価値あるものには価値のある値をつけてあげたいと思ってしまいます。必要ないのについつい落札してしまう、セリマジックにやられてしまいました。
「何に使うの?」「何かに使えるよ。」

鵜沢さん

同じく矢祭町の自家焙煎珈琲香房さんでも展示会が開催されていました。
先日知り合ってお世話になった木工家SEEDSさんからスケジュールを伺い、ガラス作家の鵜沢さんがいらっしゃるというので会いに行きました。
鵜沢さんとは共通の知人(カヌー作りを教えてくれた京都在住の俣野さん、カレンダーのメッセージの英訳してくれているバンクーバー在住の黒木さん)がいて、機会があればお会いしてみたいと思っていたのです。
匠グラスと自分用ワイングラス、来年のメープルシロップ用に青い小さなピッチャーを購入しました。
珈琲香房さんでは5月8日まで、さをり織や木工、ハーブの展示会が開始されています。スケジュールをチェックしてまた伺おうと思います。

カヌーを型から外す

今日は寒い日で、午後から雨が降ってきましたが有意義な出会いとともに展示会を楽しむことができよかったです。
さて、遊んでいるばかりではありません。急いで家に帰って来て、いよいよカヌーを型から外しました。

INDIAN GIRL and YOSHIKO

「いっせーのっ!」
二人でガンウェルを持って、カヌーをひっくり返します。
「思ったより軽いね!やっぱサワラ材だからかな。」
ここから先、まだまだ続きます。



関連サイト : 押田製材所 ・ あつまり処 あおちゃん家 ・ ハナリンオフィス
 GET WELL SOON ・ ひるてぃ農園 ・ 珈琲香房 ・ Uzawa Glass Studio Works

新緑
階段を作る。
 2022年4月28日(木)

カヌー製作番外編、森の整備に時間を使っています。
新緑の季節、山菜の季節、植物も人も動きが活発になっていきます。

敷地内にある階段を作り直しています。間伐した杉で作ったのが10数年前、2、3度の修繕をしながら持ちこたえてくれていましたが、朽ちた木が段から外れかかっていて、誰かが知らずに使って足を踏み外したら大変だと、ここ数日間ずっと気にかかっていました。気がかりなことはすぐに対処すべし、GWを目前に階段を作り直すことにしました。

木を切る

「杉よりヒノキの方が丈夫で長持ちするだろうから、ヒノキで作ろう。」
森の奥へ、間伐した方がいい所に生えているちょうどいい太さのヒノキを選び、チェーンソーで切り倒します。

軽トラで運ぶ

手で運べるように使うサイズにその場で切り、軽トラで運びます。杭にする数16本、土留めにする数22本。杭にする木は先端を尖らせます。

皮をはつる

木を長持ちさせるために皮を向きます。
匠ハツリ機、わたし手かんな。
全ての木の皮を剥くのはかなり手間がかかる大変な作業でした(要注意、腰痛)。

杭を打つ

ユンボを使って古い杭を抜いて新しい杭を打ち付けていきます。

土留め設置

水糸を張ってラインの見当をつけ、新しい杭を打って土留めをしていきます。

完成

かなりへとへとになりましたが、なんとか今日中に階段ができました。

ビフォーアフター

「なんだ、今日カヌーやってないのか。」
階段を通らずに犬の散歩でカヌーを見に来たご近所さんがポツリ。
「階段を作っていました。誰かが知らずに階段を通って落ちて怪我したら危ないので。」
「そりゃ、そうだ。ふむふむ。」
何かが作られていく工程を楽しんでくれているようです。
 

ステム曲げ
スチームベンド。
 2022年4月24日(日)

「出勤して来ます。」(出勤先は家から10秒先にある工房です。)
遅れを取り戻すべく朝からカヌー製作、日曜日だから作業が休みということはありません。
ガンウェルとステムとデッキをスチームしています。
段取りを頭に入れて、いざスチームボックスからパーツを出して型に合わせて曲げていきます。
これは大変な作業です。クランプがいくつも必要、圧をかけてさらに圧をかけていきます。

アウトウェル曲げ

うまくいったものもあれば思ったようにいかないものもあり、
「アトキンソントラベラーのときはどうだったの?」(以前作ったカヌーです。)
「スチームやってない。インディアンガールはカーブがきついからスチームしないと難しいんだけどねじれが出てしまうなぁ。」
一歩進んで二歩下がる、三歩進んで二歩下がる…。

デッキ曲げ

先日工事をしてくれた近所の電気屋さんがやって来て、請求書を置いていきました。
工事費40万円!?
こんなにかかるとは聞いていませんでした…。
二人ともびっくりです。
心がスチームベンドされた気分です。

Queen - 『Under Pressure』

苗代つくり
苗代、ここめ。
 2022年4月23日(土)

農家さんから「発芽してきたので」との連絡があり、朝9時集合で先日蒔いた苗箱を出しました。
苗代に並べてシートをかけて育成を促します。
お隣町のひるてぃ農園ひるてぃさんも助っ人に来ていました。ひるてぃさんは菜食料理家でもあり、ホリスティックな知識も豊富、この日は「エネルギー水」を持って来てくれ、お昼にみんなでいただきました。この水で育てた野菜は成長が著しくよくなるそうで、映画「蘇生2」からのネットワークでいろいろな知識と情報が広がっていることを知りました。

畑作業

先日に引き続きショーキチ青年もお手伝い、四人作業だと早いものです。
早く終わったので畑の手伝いも頼まれました。
畑を耕しマルチを敷いて里芋を植えます。里芋は発芽した芽を下にして植えるのだそうです。
隣の列には葉物を植えるそうで、まず肥料を蒔いてからマルチのシートを張っていきます。草防止のため隣のマルチと隙間なくピンで固定していきます。
畑ってこういう風にするのかぁ、と初めて知る世界でした。
わたしたちの小さな家庭菜園はほぼ自然農に近く土に種を蒔くだけですが、農家さんの作付けは本格的です。

昨年の田植えのお手伝いをしたお米をいただきました。 規格外の小さな粒や未成熟のお米を小米(ここめ)というのだそうです。初めて知りました。精米したらさらに小さくなりますが、玄米でいただくのであれば問題ないのだそうです。

畑作業

さて、明るいうちに用事を済ませて急いで工房に戻り明日の準備をします。
明日はスチームベンド、デッキとアウトサイドガンウェルを曲げます。カヌーをフォームから外したいところですが、なかなか予定通りには進みません。焦って失敗しないようにしなければ。
「今から浸水させるから、スチームは明日の午後になるかな。」
基本、カヌーは匠一人で作っていますが、手が必要な時にはわたしも手伝います。


プランキング
アースデイ、動力スタート。
 2022年4月22日(金)

1970年アメリカで、人々に地球環境に関心を持ってもらい地球のために行動する日として「アースデイ」が宣言されました。世界中でアースデイイベントが行われています。この日に限らず毎日をアースデイとし、地球のことを考えて生活をする人たちが増えています。(はからめ月の手帳より。)

コガラ

キセキレイが入らないようにと戸締りしていた工房の中にコガラがいました。
「どこから入ったの? 」
森にはたくさんの生き物が暮らしています。
わたしたちもその中の一種。毎日コガラの集団を見ていたのでコガラからも見られていたのかもしれません。

プランキング

プランキング、着々と進めています。
同時進行でデッキの製材、アウトサイドガンウェルのスチーム準備をしています。スチームベンドするためには前日から水につけておく必要があるので、二日間連続の作業となります。明日に予定が入ってしまったら明後日、明日準備ができなければ明々後日。1日1日が貴重な日となります。

はたけ

土用の間日で晴天、畑に種を撒きました。
畑仕事をしている間に工房に東北電力の方が来て、無事に電気の点検が終わりました。
これで動力の契約がスタートします。


稲の種まき
穀雨、種まき。
 2022年4月20日(水)

穀物を育てる雨が降る頃、二十四節気の穀雨(こくう)です。
穀雨とは百穀を潤す雨という意味です。
この頃に3日以上続く雨を「春霖(しゅんりん)」、降ったりやんだりする雨を「春時雨(はるしぐれ)」と呼びます。(『日本の七十二候』より。)

七十二候では「葭始生(あしはじめてしょうず)」葭が芽を出し始める頃です。
葭(葦、あし)はイネ科の多年草で、古くからすだれや茅葺屋根、紙などに用いられてきました。
ご近所さんのお家の屋根は茅葺です。屋根を葺き替えるために昨年末には葦刈りをしていました。
わたしたちの作る月のカレンダーの紙の原料にも葦が使われています。
かつては日本全国いたるところの水辺に生えていた植物です。

穀雨・葭始生

今年も知り合いの農家さんのお米の種まきをお手伝いしました。
ここ数年毎年お手伝いをしているので段取りは覚えていますが、毎年新しく改良される点があり、農家さんも同じことの繰り返しではなく、工夫を凝らしてお米作りをしているのだと分かります。

今回は新たに二人の助っ人が登場しました。
都内の大学を卒業したばかりの歴史に詳しい青年と、農業や自然派育児の経験豊かな女性です。お二人はこれからフリースクールの立ち上げにも尽力するということを伺いました。

何度かお会いしているこちらの女性から月のカレンダーを使ってくれていると伺い、ちょうど土用の期間ということもあり、土いじりに関して質問を受けました。
以下は、わたしたちが土用に関して聞いた話になります。
・入りの日だけ避ける(動土など、大きく大地に関わる作業の場合)
・笹の草刈りをする(夏の土用に草刈りをすると草が生えにくいのだとか)
・あえて木を切る(皮が剥きやすいのだそうです。)
など、地方や用途によっても異なりますが、土用を避ける人もいれば土用を活用する人もいました。土用だからかどうかは分かりませんが、土用に施工をして怪我をしたから土用には工事をやらないという人もいましたし、土用を知らないので気にしたこともないという人もいました。

私の経験からは、春土用の期間はちょうど虫が出始める頃でもあり、土いじりをすると虫に刺されやすいので、天候や時間帯を選んで外仕事をするようにしています。この期間が過ぎると立夏になります。春から夏にかけての季節の変わり目であるということを考えて、種まきや草刈りなど大地との関わりを感じながら作業をしてみて、どう感じたのかを経験してみるといいかもしれません。

さて、種まき開始です。今回は苗床の下に薄い紙を敷くという工程が加わりました。さらに土を入れる量を細かく調整し2.5cmの土の上に種もみを撒き、5mmの土をかぶせるというようにしていました。
今日は風が強く、敷いた紙が飛ばされないように気をつけながら機械に合わせて人間が動いていきます。難しいことはないのですが、機械を止めずに流れ作業をするというチームワークが大事です。土の量を計算しながら種もみを撒き終わり、すべての苗床を育苗機に入れて、道具を洗って無事終了。
みんなで山菜の天ぷらなど美味しいお昼ご飯をいただきました。

ボリジ

ハウスで育っている珍しいハーブを摘ませてもらいました。
ボリジというきれいなお花。観賞用ではなく、食用できるのだそうです。
ほんのり甘くて爽やかな香り、サラダに飾れば色鮮やかですね。

こごみ

農家さんに教えてもらった近くの土手を通って、コゴミをたくさん摘ませてもらって帰りました。この場所のコゴミは大物で、匠くんは毎年のようにこの大物コゴミを心待ちにしています。
昨年はたくさん摘んで干しコゴミ、冷凍コゴミもやってみましたが、やはり旬の山菜は旬のときにいただくのがいちばん美味しいということが分かったので、今回は生でいただく分だけを摘んで帰りました。


さくら
桜咲く。
 2022年4月18〜19日

はからめランドの山桜が咲き始めました。
遠景から見る山桜には趣があります。もみじの新緑が目に優しく、鳥のさえずりが頻繁になってきました。大地に緑が戻ってくる頃です。

畑の柵

劣化していた畑の柵を補修中、今回は杉の枝を使ってみました。
なかなかかわいい見た目で気に入っていますが、隙間が大きいのがちょっと心配です。
このあたりでは電柵が主なので、初めてこの木の柵を見る人は「何の動物飼ってるんですか?」と聞いてきます。「畑です…。」

ここにはじゃがいもを植えていますが、木々が繁ってきて年々日当たりが悪くなり、収穫量にも影響しています。この場所はテント生活の時の生活圏で、当時がんばって平らな場所を作りました。周りを切り開いていないので畑の条件としてはよくないと思いつつ、柵があるので今でもそのまま使っています。
木を切るべきか畑を移動するべきか。
森の中に新たに畑を作る労力を考えると、このままこの畑を使い続けていきたいと思うのですが、周りの木を切るのを躊躇しています。
森の生活はゼロからスタートしたので準備や知識のないまま今に至ります。ひとつひとつの行動があとあとまで影響してくるということが今になって分かります。木を生かすか人の手を入れるか、常にそのバランスを考えて暮らしています。

プランキング

プランキング、ちょっとずつ進めています。
4インチに製材していたものを3インチに製材し直すことにしたのでまたまた手間がかかっていますが、ここで失敗するとリブ曲げからすべてやり直すことになってしまうのでかなり慎重に取りかかっています。
毎日作業後に言い訳とも格言とも取れる言葉が出てきます。
今日の匠のひとこと
「我を通すのはやめようと思う。」

よもぎ

よもぎが出始めました。
よもぎは和ハーブの中でもどこにでも生えている草のひとつです。
その効能は浄血造血作用や老廃物を排出して新陳代謝を促してくれるなど、優れた薬草として知られています。最近ではガン細胞を死滅させる成分があると話題になっていますね。草餅やもぐさ灸など、日本人の暮らしに馴染み深い薬草です。

よもぎケーキ

簡単に美味しくたくさんのよもぎを食べるにはコレ、よもぎのパウンドケーキです。
毎年よもぎの季節になると作っています。
いつものバナナブレッドにアク抜きしたよもぎを加えるだけ。
今回はよもぎ50gを入れました。
 

さくら
春土用、満月、イースター、過越祭。
 2022年4月17日(日)

春土用(はるどよう)立夏の前の18日間のことをいいます。土の気が盛んになるといわれています。(はからめ月の手帳より。)

グレゴリオ暦4月、旧暦弥生月の満月(3:55)です。
キリスト教ではイースターと呼ばれる復活祭、ユダヤ教ではペサハと呼ばれる過越祭、ユダヤ暦ニサンの月と言われる祝祭日です。
この日付は毎年変わる移動祝祭日で、春分の日の後の満月の次の日曜日と決められています。さらにグレゴリオ暦(西方教会)を使うかユリウス暦(東方教会)を使うかによってまたまた日付が異なります。

聖書

イースターはキリストが復活したことを祝う日として知られています。最後の晩餐で知られる食卓は過越祭ときの食事で、聖書によればその後キリストは十字架に架けられ、3日後に復活します。
現在では復活の象徴としてイースターエッグを飾ったり、多産の象徴とされるイースターバニーを飾って祝う風習となっています。

イースターとは、ゲルマン神話のエオストレという春の女神の名前に由来しています。この時期に春の到来を祝っていたゲルマン人の祭りと過越祭、キリストの復活が重なり、「イースター」という祭典となったとの説があります。

過越祭とは、紀元前1300年、モーセに率いられてイスラエルの民がエジプトを出る「出エジプト記」によります。
イスラエルの民がエジプトを出る前夜に神から、「羊を屠りその血を取り家の2本の門柱と鴨居に塗らなければならない」と告げられます。神は真夜中になってエジプトの地を巡り、人から家畜に至るまで、エジプトの地のすべての長子を殺しました。そのときにイスラエルの民の家に塗ってある血を見てそこを過ぎ越した(殺さなかった)ことによるのが過越祭の由来です。

聖書は創世記からはじまり、モーセがイスラエルの民を率いてエジプトを出る出エジプト記、神に捧げものをするいけにえの捧げ方などを神がモーセを通して事細かく指示しているレビ記へと続きます。以前小説聖書を読みましたが、小説にはレビ記の記述はありません。小説聖書は物語として読み進めることで歴史と経緯を理解することができますが、神とは?ということを知るには本物の聖書を読まないと分かりませんね。

海

「足りないものが溜まってきたから、大きいホームセンターに行きたい。」
カヌー製作に必要なものを買いに、お弁当を持参してちょっと遠くのホームセンターまで行きました。普段通らない初めての道を通って行き、渓谷や滝、山桜などを見ながらの小さな旅です。近隣にはまだまだ知らないいい景色がたくさんあることを知りました。
海まで出て海岸沿いを走ります。今日は大潮、高波が浜へ打ち寄せ、車も潮を浴びました。地球に働く引力の強さを目で見られる貴重な日です。

満月

日が暮れてから帰ってくると、最近再建された町の観音堂に明かりが灯っていました。
「そういえば4月の第三日曜日が縁日って言っていたね。」
今日は宗教問わず、大いなるものへの感謝を捧げる日となりました。
時代とともに暦も行事も変化していきますが、数千年前の出来事を今に伝え続けていけるのは暦があるからこそです。変わらぬもの変わり続けるもの、残すものと残るもの、わたしたちが経験できることはごくわずか、人の一生には限りがあります。
かつて土を犯すべからずといわれていた土用の期間も、いつの日か土に感謝をする祭りとなってアースデイ週間となるかもしれません。
 

電気工事
電気工事。
 2022年4月16日(土)

長いこと滞っていた工房の動力電源の工事が施行されました。
かなり色々な人にお世話になり、なんとか動力を引くところまで辿り着きました。
このあと東北電力の調査点検が入り、それで問題がなければようやく動力が使えるようになります。

電気工事

電気屋さんが何時に来るのわからないので、匠くんに「午前中に来るかもしれないから、早めに準備しておいた方がいいよ、(電気の場所を掃除してユンボで地面を掘っておく)」と言った数分後に玄関から声が。
朝8:30、家に上がってきて「まずお茶いただいてから。」の言葉からスタート。(もちろん準備は間に合わずその場でユンボを操作していました。)お茶して30分が過ぎていきます。
「早く来ていただいたんだから早く工事してもらった方がいいんじゃない?」と言って、ようやく工事に取り掛かってもらいました。都会の常識は田舎のお付き合いでは通用しません。
会社出勤でなく家で仕事をしていると時間の区切りがないように思われますが、こちらにも朝のルーティンワークがあるのです。

種芋を植える

午後から晴れて来たので、雨でやれずにいた種蒔きをしました。
芽が出始めていたじゃがいもも植えて、なんとか今日の仕事を終えました。予定通りにはいかないこともつじつまがあえばそれでよし。

プランキング1枚目、ガーボード

夕方になってからプランキングスタート。
いろいろ試行錯誤しましたが、ようやく最初の一枚を貼りました。


プランキングスタート
こごみ始まる。
 2022年4月15日(金)

雨が続いています。
急に寒くなり、薪ストーブを焚いています。
七十二候の第十五項、虹始見(にじはじめてあらわる)、虹が初めて架かる頃です。

雨のため、薪作業と種まきは後日に持ち越しです。

先日打ち付けたリブをサンディングし、次はその上にプランキング(細長い木の板を貼っていく作業)の準備をします。プランキング用にサワラを製材し、固定したリブの上に順番に貼っていくのですが、思ったように進まず…。

ブツブツ言いながら

「だいぶ無駄に製材してしまったかもしれない。もっと細い材から取ってもよかったんだ…。ぶつぶつ…。」
木を無駄なく使うためには、どこにどのように製材した材がどれくらい必要なのかをあらかじめ計算しておくことが前提となります。たとえ計算していたとしても、実際に作り始めてから分かることが出てくるので計算通りにはいかないこともあります。ですから最初の一艇目の製作には、計算していた以上に時間とお金がかかります。この工程がなければいいものは作れないでしょうし、自分で作るということは、そういうことを身を以て学ぶことに価値があるとも言えます。

『何事も始まらねばさかんにならず、さかんになることして終わりはなく、終わりなくしては始まらない。こうして限りなく輪廻する。 』
これは毎年わたしが手帳に書き記している言葉です。

そういう世界に生きているのですから、途中でうまくいかないことが出てきても、諦めずに方法を見つけてやり進めるしかありません。気づきがあれば次への指針とし、手を止めずにやり方を見つけて完成させなければなりません。終わらせて始めてその先へ進めるのだと思います。
今日初めて分かったことは二度目には経験となり、その繰り返しが一つの形となって結果を産みます。その頃には今日のことなんて考えることもなく、次の課題を見つけていることでしょう。

こごみ

4、5年前に白河市のゆう工房さんから分けていただいたこごみが出てきました。
小さな株2つが増えずにいたので、毎年の芽生えを見つけても2本くらいしか摘まなかったのですが、今年はさらに小さな株が6〜7個ほど生えてきました。

「小さいけれど、増えているってことだよね。」
いつの日か敷地内でこごみを取れる日が来るかもしれません。

何事も始めなければさかんにならず、さかんになることして終わりはなく、終わりなくしては始まらない。こうして限りなく輪廻する。
わたしたちはそういう世界に生きているのですから。


リブ曲げ完了
リブコンプリート。
 2022年4月12日(火)

木も芽吹き始めてきましたので、そろそろ伐採作業も終わりです。虫も出始めてきました。
山には切った木を薪にする作業、枝を片付ける作業が残っています。一気に片付けたいところですが、虫が集中力を邪魔するのと、けっこうな肉体労働なので短時間作業を継続的にやることにしました。
山作業で体を取り戻してからカヌー製作に入ります。昔の人が山野に入って禊をするという意味がよく分かります。お花見も山野に出ていって山の神に捧げたものをともに食すという由来があるそうですから、季節の行事の本来の意味を知ると意識にも変化を起こせるでしょうね。

昨日から水につけておいたリブをスチームボックスに入れて蒸し始めます。前回のスチームベンドが思ったより大変だったので、今回は準備万端、かなり慎重に挑みました。

リブ

何本かの失敗はありましたが、予備に製材しておいた材で足りたので、今回はうまくいったと言えるでしょう。曲げるときにスプーン曲げのように超能力を木に転写するイメージをしてみました。
これですべてのリブを整えることができました。

土留め作業

山の暮らしは時間に追われることはありませんが、作業は果てしなくあり続けます。
木を切ったり草を摘んだり刈ったり土を動かしたり耕したり、そのサイクルが数年すると振り出しに戻るすごろくゲームみたいなものです。

数年前に整地した通路の土手の補修工事、そのときにあるもの(廃材)で土留めを作ったので、経年劣化してきました。今はカヌーの材料として購入したサワラと杉のしろたの部分があるので、この材を用いて土留めの補修をしました。土留め用に製材しているわけではないので、端材が出たら作ることにして、大きな土木工事をするまでもなく、今あるもので用を足します。さて何年持つでしょう。

イチゴの花

いちごの花が咲きました。
だいぶ整理したので、今年の収穫はいかほどか。
いちごの花はとっても可憐で観賞用としても美しいのです。

ニリンソウの花

ニリンソウも咲き始めました。
葉がトリカブトと似ていること、同じようなところに生息していることから、花が咲いてから花茎を摘むようにしています。

ニリンソウ、おひたし

春の野草は花を食べることができるので、摘む楽しみがあります。
匠くんはニリンソウのおひたしが好きなのだそうです。
 

お花見
お花見。
 2022年4月9〜10日 

酒蔵の社長さんからお花見バーベキューにお誘いいただきました。はからめランドの山桜はまだですが、久しぶりに町へ降りると桜が咲いていました。バーベキュー、私たちはお肉を食べませんが、楽しくお酒が飲める会に呼んでいただけるのはありがたいこと。蔵人と一緒に飲める貴重な機会です。

矢祭の仲間たち

一年に一度の町での夜遊び、普段行くことのないスナックで2次会。
酒蔵の社長さんが帰られるタイミングで材木屋の社長さんが登場。匠くんが帰ると言うはずがありません。

矢祭の仲間たち

翌日、昨夜一緒に飲んでいたお隣町の若者たちがはからめランドを訪れました。
こちらは飲みすぎて二日酔いでしたが、彼らは節度ある飲み方と飲まずに節度ある行動をしていたので元気。普段聞くことのない射撃の話など、初めて知る世界を教えてもらいました。

ミツバの葉

三つ葉が出始めました。
二日酔いに効くそうなので、小さな新芽を摘んでいただきます。

梅の花

急に暖かくなり、はからめランドの梅が咲き始めました。
月を背景に梅の写真を撮っていたら「ホーホケキョッ。」とウグイスの鳴き声が。
梅とウグイス、いい季節がやってきました。
寒い時期が長い国にとって、春は喜びに溢れるときです。
戦場にも春は訪れていることでしょう。

戦争が長引くのはなぜなのかを考えると、この戦争を起こしているのが2国間だけではないことが分かります。募金や支援金がどこにどう使われるのか。何も知らずによかれと思ってとった行動が望まないことに繋がってしまうということは被災地でも起こりうることでした。

ロシアの作家トルストイの小説「戦争と平和」はアメリカでも映画化されヨーロッパでも翻訳されています。トルストイの童話を読むと、たとえ馬鹿と言われても土を耕し続けることの中に答えがあることが分かります。

いつの時代も犠牲になるのは戦争を望まない人々です。
日本もかつて戦争をして、原爆を受けて敗戦国となりました。戦争の記憶を持つ人も少なくなりました。
日本の総理大臣には戦争の記憶がある人たちから伝えられてきたことを世界に発信していただきたい。広島に刻まれた文字を世界に発信していただきたい。日本がやるべきことは戦争を止めるために世界に訴え続けることだと思います。

資金を調達すればするほど戦争は長引きます。
西側に足並みを揃えて、という経済制裁がどんな影響を及ぼすのかを考えると、まずは戦争を望まないロシア市民が苦しみ、その影響はやがて制裁を下した国々にも押し寄せます。この世界は因果応報、やったことがかえってくる世界です。オイルや小麦の値上がりだけではすまない世界がやってきます。経済制裁が解かれ、停戦と話し合いによってロシアとウクライナに平和な春が訪れることを願います。
 

リブを曲げつける
花まつり。
 2022年4月8日(金) 

4月8日はお釈迦様の誕生日に由来し、「灌仏会、仏生会、降誕絵」ともいわれます。お寺にお参りして草花で飾った花御堂の灌仏会に甘茶をかけて祝います。(「はからめ月の手帳」より)

お釈迦様は右手で天を指し、左手で地を指して「天上天下唯我独尊」という言葉を残しました。直訳すると「宇宙の中で私より尊い者はいない」という意味ですが、 本来の意味は、「自分はこの世に唯ひとりしかいないかけがえのない存在であり、人々は互いに尊重し合うことが大切」という解釈となります。

工房にて

再びリブを製材をします。
割れてしまったり亀裂が入ってしまったものは使えませんので、新しいリブを作ります。スチームベンドの成功率は約60%、計算上、残り20本のリブのために製材する数は32本程度必要とされます。が、リブは場所によってサイズが異なるため、どこを何本製材するかを考えると…。
まずは機械のメンテナンスから。

やっていればいつかは終わる、終わりのある作業だからこそコツコツやって次へ進む、の繰り返しです。だんだん人生に例えることが増えてきました。これぞ canoe is life というべきかどうか。
Building canoe is life、あせりは禁物、早く終わらせたいと思うことほど急がば回れの精神です。

花わさび

花わさび漬けの実験をしてみました。
湯通ししたあと塩で揉み込むか砂糖で揉み込むかによって辛さに差が生じるのかどうか。
また熱いうちに揉むか水で冷やしてから揉むかによる差も試してみました。
結果、塩でも砂糖でも、熱くても冷やしても同じようにできるということが分かりました。
いろいろな作り方があるものは、それぞれ同じようにできるものなのかもしれません。

バナナケーキ

簡単、適当、思いつきで作れるものほどすぐに行動したくなるものです。

バナナが熟れすぎてしまったら、バナナブレッドを作ります。

●材料
熟れたバナナ2本
小麦粉 100g
メープルシロップ 大さじ3
卵 1個
油 30cc
ベーキングパウダー 4g
重曹 2g
レモン汁 少々

全部を混ぜて型に入れ、170度のオーブンで35分焼いたら出来上がり。

卵を入れなければヴィーガン使用に、メープルシロップを倍増すればもっと甘く、メープルシロップの代わりになるものであれば砂糖でも黒蜜でも代用でき、油を多く入れればよりしっとりふっくら、バターに替えればバターの良い香りに、レモン汁がなければ入れなくてもOK、ベーキングパウダーか重曹どちらかだけでも作れます。かなり適当にやってもおいしくできるのがバナナブレッドのよいところです。
 

リブを曲げつける
スチームベンド本番。
 2022年4月7日(木) 

いよいよ本番のスチームベンド、インディアンガールのリブを曲げます。
昨日から水槽に浸けておいた材をスチームボックスに入れて蒸し、二人で型に合わせて曲げていきます。何度か実験してみてその難しさを感じつつ、本番用にも今回サワラ材を用いてみることにしました。
サワラの特性は何より軽いこと、そして水に強いことがあげられます。カヌーの材料として使えるのではないかと思ったのですが、実際にはスチームベンドに耐えられずに割れてしまうものもあり、粘りが低いような気がします。リブは特に曲げがきついところなので、もしかしたらプランキングには向いているかもしれませんがリブにはやはり杉材がいいのかもしれません。とはいえ、なんとしてもサワラで作ってみたいという匠の意思で、今回は成功するまでサワラでGo。

スチームボックスから取り出す

成功率は60%強。半分よりは上ということで、たくさんのサワラ材を必要としますが、どうしてもやりたいという意思は止められません。やってみて分かることもあるので、最初の一艇は実験艇となります。

タネツケバナ

タネツケバナ(種漬花)の名前の由来は、苗代をつくるために種もみを水に漬ける頃に花が咲くという意味です。水田に咲くとありますが、はからめランドには地面にタンポポと隣り合わせでちらほらと咲いています。多くもなく花としても数ミリと小さいので収穫には時間がかかりますが、かわいい花なので摘む楽しさもあります。これは日々のサラダ用、種漬花に種がついてきたらそろそろ終わり、次の野草を探す頃です。

エンゴサク

薄い紫色のレースのような花、エンゴサク。
スミレのように小さく地面に咲いています。これも食べることができます。ムラサキケマンという毒草と似ていて隣り合わせに生えているので、知らないと間違えてしまうかもしれません。
エンゴサクは三杯酢に浸すと鮮やかな紫色になり、ほのかに花の香りがします。


杉納品
スギとつくし。
 2022年4月5日(火) 

先日購入した杉の丸太が製材されてきました。
「意外とフシがあるね。やっぱり切ってみないと分からないもんだね。」
そうです。木は切ってみるまで分かりません。
いいとき(当たり)もあればそうでないとき(はずれ)もあり、人生と同じです。
いいときばかりが永遠に続くことはなく、仮にいいときばかりがしばらく続いたあとでそうでないことがあったとしたら、その立て直しは慣れていない分いつもよりも大変に感じることでしょう。
そんな話をしながら材を見ていると、良い悪いではなく、どう使うかどこを使うかという工夫次第でいろいろ創作できる面白さもあるよな、なんて気持ちにもなります。そもそも木にとってはフシのあるなしはどうでもいいことで、人間の都合上の問題ですから。

切ったばかりで水分を多く含んでいるこの杉材は、ひと月程乾かしてから用いることになります。

つくし

スギナが生えてくるところからつくしがたくさん生えてきました。昨年スギナの刈り取りに手を入れたからなのか、これまで数本だったつくしがいきなりつくし畑のようになっているではありませんか。もはやつくしを探す必要すらありません。

つくしの白和え

<つくしの白和え>
今読んでいる本に植物とのレシプロシティという言葉がよく出てきます。
山菜を摘んでいるとそれを実感するようなことが何度もあります。
レシプロシティとは、相互利益と訳されます。わかりやすく人間関係に置き換えて説明すると、相手に何かを渡したらお返しがあると期待し、相手に何かをしてもらったら何かお返ししなければならないと感じることをさす、とありました。 日本語にはない単語ですね。

植物とのレシプロシティとは、収穫させてもらうのであればその植物がまた育ってくれるように生育環境を整えるであるとか、繁殖しやすいように株分けするであるとか、その植物との関係にもよりますが、取って終わりではないということです。

つくしの混ぜご飯

<つくしの混ぜご飯>
敷地内に春に出てくる食べられる野草は、一通り食してみることが毎年の儀式のようになっています。できるだけ美味しくいただく方法を考えるのもまた創造トレーニングです。

木を曲げる準備
スチームするための準備。
 2022年4月4日(月) 

カヌーを作る工程の中で、木を蒸し曲げ(スチームベンディング)して型に固定していくという作業はかなり気を使うところでもあります。リブというパーツだけでも、50本近く蒸して曲げて打ち付けます。木の材質にもよりますが、割れてしまったりしわができてしまったり、教科書通りにやってみてもその通りにはいかないのです。プラスチックやFRPと違って、木には木目や水分量があるため前に使ったものと同じものが今回も手に入るというものでもありません。 実験と経験と試行錯誤、まずやってみて工夫して成功率をあげていくしかないです。

蒸して曲げる前の下準備として、木を水に浸しておく必要があります。目の前にきれいな沢があるのでこれまでそこに浸しておきましたが、毎回沢に降りて材を浸して沢から引き上げてスチームボックスに入れるという作業は大変だということがわかりました。
水に浸した材をすぐにスチームボックスに入れることができるように、水槽を作りました。それに伴いスチームボックスも改良して場所も移動、スチームするためのコーナーを作りました。

カヌーのフォーム移動写真

木で作ったカヌーを大きな帆布で包むときに、カヌーを釣り上げて両側からテンションをかけて引っ張るという工程があります。広い場所と丈夫な壁(もしくは柱)など固定できる場所がなければならず、工房内に唯一ある柱の場所までカヌーのフォームを移動しました。それに伴い材も移動、工房内のレイアウト変更です。

これをやるためにはまずこれをやっての作業が続いています。
人生とはその繰り返しの延長線上に成り立っているものなのかもしれません。

織物

ウイルスや戦争やフェイクニュースで沈みがちだった気持ちを立て直すためのセラピーのように始めた織物ですが、今回は手こずりました。
今までと同じようにやっていても面白くないと、色と素材を変えてみたのですが、完成図をイメージしていなかったこともあり、出来上がったものをさてどうするか?という新たな問題が生まれてしまいました。ただ作るだけでよかったことから、この作ったものをどうするかという次の課題が生じます。

ジャケット

切らずに作れる方法を探り、このパターンに行き着きました。裏地もつけて一応ジャケット風に。数回は着てみようと思います。

お雛様
新月、旧上巳の節句。
 2022年4月1〜3日 

4月と5月は1日が新月、グレゴリオ暦でも旧暦でも1日はじまりの月となります。
月の形と日付の数字が同じになる2ヶ月間、春から初夏に向けて心とからだのリズムを整えていきたいですね。
今日から和風月名の弥生(やよい)月のはじまりです。睦月が1月如月は2月、3月は弥生と覚えていると思いますが、これは旧暦の時代の呼び名です。グレゴリオ暦の4月は卯月ではなく、旧暦の四月が卯月になります。
これを教えてくれたのは当時信州に住んでいた友人のモエ。月のカレンダーを使ってくれている中で指摘して教えてくれました。モエは今では西表に移住し長いこと会えておりませんが、月のカレンダーを通して毎年コミュニケーションを取ることができています。年々そういう友人知人が増えてきました。しばらく会っていなくても、カレンダーでつながっていれば会おうと思えばまたすぐに会うことができる、そう思えるのがこのカレンダーのよいところでもあります。

旧暦三月三日は沖縄離島ではサニチといって、女性は海水に足を浸して禊をするという風習がありました。この日は大潮のため、現在では潮干狩りをしに行く風習となっています。(はからめ月の手帳より)
これは以前、竹富島に行ったときに教えてもらったことです。

きのこの菌打ち

ホダ木にきのこの菌を打ちました。
しいたけ、ひらたけ、なめこの3種類です。
ふた夏を越えてから出るのだそうで、2年以上先の楽しみとなります。

きのこの菌打ち

5日に一度の頻度でホダ木に水をかけて管理をするのだそうです。それを考えると森の奥深くに置くよりも歩いて無理ない場所に設置するほうがいいですね。都合よく雨が降ってくれればありがたいことですが、雨はかかってもお日様は当たらないところで、半年したら木を裏返すなど、うっかり忘れないようにできるのかどうかが心配です。果たしてきのこはできるのかどうか、2年後に乞うご期待。

かもめのジョナサン

リチャードバックの名著『かもめのジョナサン』を20年ぶりくらいに読み返しました。
書いてある文章は同じなのに、読み手であるこちらの意識が変わったことによって同じ本でも感じることが異なるのは不思議です。本とは、そのときによって以前読んだときと違う感覚でとらえることができるものです。

誰もが同じに感じるものより、人によって答えが異なるものこそ面白く、人それぞれの感じ方考え方が尊重されるためには答えのない学びがあって然るべきなのだと思います。

友人が作っている日めくりカレンダーには「KILL YOUR TV (テレビの悪影響を認識せよ)」とありました。


関連サイト : 月とカヌーのおすすめページ『かもめのジョナサン』
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