Mind & Body
このコーナーでは、はからめオススメの本や映画、音楽など、皆さんの生活がより豊かになるのではないかと私達が感じたものを紹介していきたいと思います。もし興味が湧いたら実際にご覧になってください。
オススメ−1 ・ オススメ−2 ・ オススメ−3 ・ オススメ−4

『かもめのジョナサン』 リチャード・バック著

1970年にアメリカで出版され、1972年以降に爆発的にヒットした短編小説です。
かもめであるジョナサン・リビングストンが群れから離れ、自己の目的と信念を貫き通して見つけた深遠なる世界を描いています。その世界観は、かもめのジョナサンの視点を通して描かれる禅や悟りの境地とも受け取れる作品で、当時アメリカ西海岸のヒッピーの間から世界的に広まって、日本でも大ベストセラーとなりました。悟り、覚醒、アウェアネスを、かもめを主人公とした短編小説で表現したすごい作品だと思いました。

20数年ぶりに読み返しました。
初めて読んだときにはすごく感動して「この本知ってる?」と母に話した記憶があります。「知ってるよ。」という返事だけが返ってきて「大人になるとこの意識を忘れちゃうんだな、」とまるでジョナサンになったかのように高みからこの現実界を見下ろすような感覚になり、この本の世界観に影響を受けた記憶があります。
そして今、再びあの感動を得られることを期待したのですが、読んでみるとなぜかすっきりしないような、もやもや感がありました。20代の頃と違う感覚になったことの理由は、翻訳者である五木寛之氏のあとがき「ひとつの謎として」を読んで理解することができます。訳者が自分が訳した世界的ベストセラーを賞賛せず、本音を語っていたことが衝撃的でもあります。
「大衆的な物語の真の作者は、常に民衆の集団的な無意識であって、作者はその反射鏡であるか、巫女であるにすぎないとする私の立場が正しければ、」と述べ、時代と国民性を分析している五木寛之氏に興味を持ちます。

読むときによって感じ方、捉え方が異なる物語は、時代や世代を超えて残る名著です。
当時この本に感動して、著者リチャード・バックの『イリュージョン』(1981年)という作品も読みました。 サン・テグジュペリと同じく、飛行機乗りの作家の世界観はどこかスピリチュアルの領域を漂っているようにも感じます。

寓話的作品といわれ、ストイックに自己を探求するこの物語は、精神世界のジャンルに置かれてもいいのではないかと思われます。  (よ)

『エイリアンインタビュー』 編集者 ローレンスRスペンサー

本の表紙にあるように、これは「マチルダ・オードネル・マックエルロイが提供した文書に基づいて」SF作家でもあるローレンスRスペンサーが編集したものです。2015年にアメリカで出版されました。
内容は1947年にアメリカニューメキシコ州ロズウェル付近で墜落した「空飛ぶ円盤」を回収した合衆国陸軍航空隊の機密公式記録文書に基づいています。この記録は2007年まで秘密にされていました。公開したのは合衆国ではなく、機密保持誓約をしたマチルダさんご自身によるものです。死期が近づいたマチルダさんはこの内容を公開しようと決断し、ローレンスRスペンサーに送りました。「できるだけ多くの人と共有してください。もし地球の人々がここで本当は何が起きているのかを教えられれば、彼らは自分が誰であるか、またどこから来たのかを思い出し始めるかもしれません。」と書き残しています。
これを読むと、ジョージ・ルーカスは知っていたのかと思うほど映画「スターウォーズ」の世界観を彷彿させられます。さらにアインシュタイン、ニコラ・テスラ、聞いたことのある人物が出てきます。 映画「マトリックス」にあったように、青いカプセルと赤いカプセルを渡されたときにどちらを選択するか、真実を知りたいか、たとえその真実が知りたかった真実ではなかったとしても、という前提でこの本をご紹介します。でも、その真実を知った上でどう生きるか、という選択もあるわけで、マチルダさんのメッセージを受け取れたことに感謝するとともに、IS-BEである存在すべてがその存在に気づいて生きることこそが真実への扉となるのではないか、とも思えるのであります。  (よ)

『人生を変えるドラッカー』 吉田麻子著

『ドラッカー入門』を読んだのは二年前のこと。なんとなくわかるようなわからないような。その一年後、ドラッカーを紹介してくれたひさみさんにお会いした際、 「興味はあるけれど難しいので、どの本を読もうかわからなくて。おすすめの本ありますか。」と聞いたところ、選んで貸してくれたのが小説『人生を変えるドラッカー』でした。
その本をお返ししたタイミングで、ひさみさんが主催するドラッカー読書会にお誘いいただきました。
マネンジメントの父、といわれるドラッカーは、経営学について論じていると思われがちですが、社会を読み解きどう自分自身が行動していくか、社会にどう貢献していくか、ということを説いています。たくさんある著書は、人によっては難しく感じるかもしれません。初めて読んだときには読みにくい本だなぁという印象を持ちました。この小説にあるように、「ドラッカー勉強会」「ドラッカー読書会」なるものの存在を知るまでは。この小説のようなことが実際に行われているのであれば、是非体験してみたい、そう思いました。そして、実際に読書会に参加することになりました。
時代は常に変化していきます。その変化をいちはやく捉え、自分には何ができるのかを問い続け社会と関わっていく、そういう人たちにバイブルとされているドラッカーの本の使い方を、こんなに面白くわかりやすく教えてくれるなんてすごいと思います。この本はドラッカーの教えを実践することの魅力を描いています。この著者の方も、実践されたことを本という形にして伝えてくれていることに真実味があり、知識は行動を伴うことなのだとやる気にさせてくれます。  (よ)

『2020年6月30日にまたここで会おう』 瀧本哲史著

この本は2012年6月30日に東京大学のホールで行われた伝説の講義をまとめたものです。
私には現代版の「君たちはどう生きるか」のように感じました。

「何かすごいリーダーをひとりぶち上げるより、世の中を変えそうな人をたくさんつくって、誰がうまくいくかわらないけれども、そういう人たちに武器を与え、支援するような活動をしたほうが、実際に世の中を変えられる可能性は高いんじゃないか」と説き、「カリスマモデル(誰かすごい人)」から自分で考え自分で決めていく人に武器を与える「武器モデル」へと言っています。
瀧本さんは「武器」と呼んでいる考え方で、世界を変えるための革命を起こそうとしていました。 現時点では、世界はまだ変わっていないように見えますが、この本という種がまかれたことにより、種が成長して世界が変わっていく「パラダイムシフト」が起こっていくのではないかと思います。

「日本語という言葉を磨くこと。 自分の人生は自分で考えて自分で決めること。 交渉は相手の利害を分析すること。 仲間を見つけるときに重要なのは、自分と違う属性の人間を集めること。 意見が異なっても、目的のためにつながること。」

世の中を変えるためにはどうすればいいのかを見つけ出し、実行に移した真の革命家、この世界を変えるためにやってきた使者からの言葉のように思えます。瀧本さんは世界を変えていけるのは若者だとして、この講義への参加資格は29歳以下に限定していました。では20代をとうに過ぎたかつての若者たちはどうすればいいのでしょうか。その質問にはこう答えています。若者をバックアップして、支援してあげる、と。 世の中を動かす人を若者と年配者に分けて考えるのではなく、この本を読んで自分の頭で考えてみることが大切です。
自分たちの行動で世界が変わったことを実感できるのが今の若者たちになるのだろうと思います。 かつて若者だった今の大人たちは、世界を変えていく若者を育てていく土壌をつくることに力を注ぎ、革命の後ろ盾になること、それも革命軍の一員となるのではないかと思っています。

著者の瀧本哲史さんは2019年に47歳の若さで亡くなりました。
最後のページにあった、宿題の答え合わせがどうなったのかが気になるところです。  (よ)

『風邪の効用』 野口晴哉著

「風邪を引くと大抵体が治る。」のだという。
「体を使っている中に或る一部分が偏り疲労の潜在状態になってそういう部分の弾力性が欠けてくると風邪を引き、風邪を引いたあと恢復してくる」と説き、風邪自体が治療行為ではないかと考察しています。また、「完全に経過しないで治してしまうことを考えると風邪を繰り返す」のだそうで、「風邪というものは治療するのではなくて経過するものでなくてはならない」のだと説明しています。「体が恢復しようとする動きが風邪の現象である」と。

この本は昭和37年(1962年)に書かれたものです。わずか60年足らずの間にわたしたちの暮らしや考え方は大きく変化したことが伺われます。医療が進み寿命は延びましたが、人々の健康への不安は増し、病気の治療は薬や病院に頼ることが当たり前だと考えられる時代となりました。
代替医療などで自己治癒力を高め、自然療法で病気を回復していく動きもありますが、そもそも病気とは何か。 この本のあとがきに書かれていることを読むと、もっともだと思えます。そのもっともなことができなくなった人たちが今の医学を研究しているのだとしたら、根本的な改革が必要です。医学という分野ではなく、生きるという分野を研究し続けなければなりません。

野口晴哉氏はこう述べています。
「病気したと思っている機会にその心を正すことが本当の健康を理解させる近道になる」

風邪の効用だけでなく、心の状態が病と密接に関わっていることを理解する上でも一読の価値があります。  (よ)

『ライオンのおやつ』 小川糸著

「明日が来ることが当たり前に信じられることは、本当はとても幸せなことなんだなぁ、」何気なく読める一文は、数ヶ月前に私が思っていたことでした。
母を癌で亡くしたとき、キッチンボルベールの竹花いち子さんがこの本を紹介してくれました。ステージWの癌で余命宣告された33歳の主人公が最期を過ごすホスピスでの暮らしを綴った小説です。 著者も母を亡くされ、その経験からこの小説が書かれたのだそうです。

死を宣告されてから今生きている時間をどう過ごすのか、この小説のように穏やかに、肯定的に自分のことを振り返ったり考えたりできるのであれば、残された人にとっても悲しみの度合いがやわらいでいけるように感じます。死にゆく人が幸せに旅立てるように、それが生きている者にとっての心からの願いです。こんな風に最期のときを過ごせたらいいな、過ごさせてあげられたらいいな。
ライオンのおやつ、そのストーリーに綴られる思い出はなんと甘く暖かいのか。食べる、とは味わうだけでなく、感じて記憶することなのですね。たくさんの記憶、たくさんの思い出を味わうのですね。

母は幸せに旅立てたのだろうか、わたしはあれでよかったのだろうか、後悔してももう取り戻すことはできません。その日々を、この小説のやさしさ穏やかさが慰めてくれました。こんな風に終われるのだったらよかった。こんな風に感じられるのだったらよかった。
生きているということは、必ず誰かの死を経由します。その密度が濃くなるにつれ、残された者、送る側の心には消えない悲しみが伴います。その悲しみを抱えながらも毎日生き続けなければなりません。旅立ちのときを肯定的に捉えさせてくれた、このストーリーに感謝したいと思います。  (よ)

『野草の手紙』 ファン・デグォン著  清水由希子訳

1985年に韓国政府に無実の罪で投獄されたファン・デグォン氏は、13年間の独房生活中に刑務所の庭に生えている野草との対話をはじめます。この本は、日記さえ禁じられた中で唯一許された週に一度の妹への手紙をまとめたものです。
野草の力によって精神的にも肉体的にも長い投獄生活を生き延びてきたファン氏の考え方は、今を生きぬかなければならないわたしたちにとっても大切なメッセージとなります。小さきものとの対話は大きな世界を感じさせます。微生物や虫、雑草といわれる名も知らぬ植物もわたしたち人間と一緒にこの世界で生きていて、彼らも呼吸をし、その呼吸をわたしたちも吸っています。呼吸を通して同じ世界で繋がっていることを感じたときに、当たり前すぎて気づかないことに気がつくのです。
ファン氏の気づきには、お酒やタバコ、贅沢な食事という嗜好品を刑務所生活で自由に得られなくなったことも影響しています。現代人は極限までいかないと、真実を知る感覚を呼び戻せないのかもしれません。
ファン氏の野草愛は文章だけでなく、挿絵を通しても伺えます。野草からわたしたち人間世界の様々な事柄を考えさせられる大きな一冊だと思います。陰極まって陽となる、人生で経験できる人は少ないかもしれませんが、その経験者の言葉から学ぶことができるのはありがたいことです。  (よ)

『一九八四年』 ジョージ・オーウェル著  高橋和久訳

ネットで本を検索すると、「この本を読んだ人はこの本も読んでいます。」と他の本の紹介が表示されます。はじめに読んだ本はオルダス・ハクスレーの『知覚の扉』でした。次に同著者の『すばらしい新世界』を読みます。『一九八四年』に影響を受け、その世界観をベースにしているとの見解を知りました。以前からこの本がいろいろな人に影響を与えているということだけは知っていました。
著者のジョージ・オーウェルは1903年生まれ、1950年に亡くなっています。この本は1949年に書かれました。私が手にしたのは2009年発行の[新訳版]です。ある人は「予言の書」ととらえるかもしれません。この救いのないディストピアを今の日本社会と照らし合わせると、恐ろしいという感情を飛び越えて現実だ、と思えてしまいます。もはや警笛ではなく、事実として受け止めざるを得ない時になってしまったとも。
唯一の救いはこれが小説であるということ。これがリアルならば、ウィンストン・スミスの精神か、それともオブライエンの精神か、いずれにせよ最終的にはみんなビック・ブラザーを愛してしまうのか…。「戦争は平和なり 自由は隷従なり 無知は力なり」のスローガン、そしてゴールドスタインの『寡頭制集産主義の理論と実践』はすごいです。著者は政治にも影響を与えた人物であったようですが、すべての人がこれを知ったらどうなるのか。みんなに知ってほしい。けれど、小説の中に留めておく方が安全なのかもしれない…。  (よ)

『森の生活 ウォールデン』 ヘンリー・D・ソロー著  真崎義博訳

アメリカのマサチューセッツ州コンコードという場所で暮らした作家、ヘンリー・デイビッド・ソローの森での生活を主に綴った分厚い本です。ソローは45歳で亡くなりました。1862年のことです。
コンコードのウォールデン湖のほとりには、レプリカですがソローが作った小屋が残されています。以前その場所を訪れたときに、自分の暮らしとの共通点や相違点を間近に感じ、どんな生活をしていたのかと想像をふくらませたことを思い出しました。本を読んで当時の世界を垣間見ることができたように感じます。ソローの森での生活は今から150年以上前のことです。わずか150余年で、経済と自然環境と人の価値観は随分異なってきたことがわかります。けれど、変わらないものがソローの言葉の中にあり、今もソローからのメッセージを受けとっているように思えることがこの本の魅力なのではないでしょうか。
難解な、詩的な、根源的な表現方法で綴られた文章です。いろいろな人が「ソローの言葉をかりれば…」「ソロー曰く」と彼の記した文章を引用しています。自分の言葉で語るよりも、秀逸なソローの表現をかりるのです。あの表現はどこからやってくるのでしょうか。この世の真理を探し求めた人にしか到達できない世界を見たのでしょうか…。作家だからと言う前に、人間としてどのようなことを探求していたのかを考えてしまいます。その哲学的な思想はソローの本を完読した人にだけ響くのかもしれません。  (よ)

『モモ』 ミヒャエル・エンデ著 大島かおり訳

「タイトルは知っている、時間泥棒のお話だよね?」
もっとはやく読んでおけばよかった!いや、このタイミングで読めて本当によかった!と思えるとても面白い本です。児童文学といわれるジャンルに分類されていますが、かつて子どもだった大人にこそ楽しめる内容ではないでしょうか。モモは小さな女の子、家も親も財産もありません。相手の話をじっくり聞くことが得意で、モモに話せば自ずと自分の中に答えを見つけることができるようになるので、みんなモモに会いにきます。だからモモは孤独ではありません。みんなが時間をうばわれてしまうまでは…。
1976年に出版され、今も愛され続けているこの本の訳は「作者のみじかいあとがき」を読めばすぐにわかります。これは過去にあった話?いいえ、今の話かもしれない、それとも未来…。時間と人生についてのお話です。  (よ)

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